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結局昨日の夜はなにも答えが見つからないまま寝た。
朝になって朝食を食べて、部活に行った黒尾と研磨くんを見送って、現在9時。
弟は友達と遊ぶ為に黒尾達と一緒に家を出て行ったので、私はすることもなく黒尾の家でスマホをいじっていた。
たまたまスマホの画面下にでた漫画の広告に目をやる。
いつもはスルーする、鬱陶しいだけのそれをぼんやり見つめた。
幼馴染みとの恋愛漫画、かぁ。
…あの日からずっと、調子が悪い。
スマホの電源を落として、目を瞑った。
私を配慮した、珍しく自信なさげなアイツの声を思い出す。
私の親しい、数少ない理解者。
『……でも、だって、』
だってお前は、いとこじゃん。
気づかないふりをしていた。
お前の気持ちも、私の気持ちも。
私たちの関係も。
いとこ同士の交際や結婚は、日本の法律上問題はない。
けど、世間は。私は。
親戚であり、血が繋がっていて…、それだけ。
それだけが不安を主張する。
どうってことないって、当事者じゃないと分からない。
なにが不安でどうして悩むか。
妨げるものは、なに?
面倒くさいとしまい込んできたものと向き合うのが、こんなにも怖いなんて思わなかった。
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一泊二日の予定だったから、早くも東京を出る時間になり弟が帰ってきた。
特になにももってこなかったので、わりかし軽装で駅なう。黒尾の母上が送っててくれた。
また気軽に来てね、とお土産をもらい、改札を通りホームに向かう。
「はー楽しかった!」
『そりゃ良かったねぇ』
「姉ちゃんは?」
『ゲームできて満足ー』
今頃2人は部活か。
今日は部活で一緒にいれなくて…と謝られたけど、そりゃ大会も控えてるし、むしろ急にきて一日遊んで、泊まらせてもらえただけ…ねぇ。
どうせまたすぐ会えるわけだし。
「A!」
なのになぜ。ドラマの再現でもしたいのかな?
改札の向こうで息を切らした、赤いジャージ姿の黒尾がこっちを見ていた。
時計を確認してあまり時間に余裕がなかったから、弟に先に行ってもらい私だけ小走りで戻ると、「これ、お前の、昨日間違って研磨の鞄に入ったみたいで、さっき見つけた」と呼吸を整えながら、ポケットからゲームソフトをだして渡された。
ひぇーほんとだ。
なんかすまん…部活中に…。
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マニ。(プロフ) - 未確認歩行物体さん» ✉️。この作品もとても面白いです!これからも応援してます! (11月22日 14時) (レス) id: b32654e3a5 (このIDを非表示/違反報告)
reia(プロフ) - 私、占いツクールで布教活動をしているのですが、この作品のシリーズ、とても好きなので布教してもよろしいでしょうか? (2022年3月24日 22時) (レス) id: 0d7a47aa6b (このIDを非表示/違反報告)
未確認歩行物体(プロフ) - mooさん» はじめまして!わーい、たくさん褒めて頂きとても嬉しいです(*´∀`*)こちらこそコメントありがとうございました!( ´ ▽ ` )/ (2021年8月9日 10時) (レス) id: a04ea61aea (このIDを非表示/違反報告)
moo(プロフ) - 初めまして、モテ期到来からの各ルートとオマケまで読めて最高でした!ありがとうございます!! (2021年7月7日 16時) (レス) id: 36860c259a (このIDを非表示/違反報告)
未確認歩行物体(プロフ) - きゃーぽんさん» きゃーぽんさん、コメントありがとうございます!完結してから4年経った今でも、この作品を見つけて読んでくださった方がいる事がとても嬉しいですヽ(;▽;)ノお褒めの言葉まで頂き、本当にありがとうございます!! (2021年5月18日 22時) (レス) id: d428059590 (このIDを非表示/違反報告)
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