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「団長、知り合いですか?」
「シズク。昨日話したミョウジの娘だ」
『待って、昨日話したってなに??』
ばっと距離をとる私に、「へぇ。半信半疑だったけど、本当に生きてたのか」のピンク色の髪の女性が目を見開く。パクノダという女性も驚愕した表情で私を見ていて、やはり私の記憶を消した人物は彼女で間違いなさそうだ。ちょんまげの男も目を見開いていて、この中で当時の私を知らないのは……興味深そうに私を見上げる小柄な子と、シズクと呼ばれた眼鏡の子だけだろうか。
まさかの明らかな身バレに、今すぐにでも逃げたいけれど…。
気づけば停電の時間まで、あと1分を切っている。
やるしかない…!私と旅団の接点を理解出来ずに驚いているゴンくん達を一瞥して、そろそろ目を瞑るように祈る。後で説明するから!
はっとしたキルアがちらりと時計を盗み見て、目を瞑る。
「っ、なんだよそれ! お前そいつらの仲間だったのかよ、見損なったぜ!」
「俺も知らなかった!ひどいよ!」
『ちょ、誤解だよ…!』
いくら目を瞑るために理由が見つからなかったと言え、それは残酷だと思う。私に対してそっぽを向くように目を瞑った二人に、演技とはいえ深く傷ついた私である。合わせはするけど、どう考えても仲間と出会った反応じゃなかっただろ…!
「…あぁそうだパクノダ、先にソイツらを調べろ」
思い出したように言った団長の男。短く返事をしたパクノダという女性が、煽る二人を強引に黙らせながら質問をした。ま、間に合ってください…!
ーー瞬間、時計の長針がかちりと動く。同時にぱっと消えた灯に、時刻が七時になったことを知らされた。
予め目を瞑っていなかった私には勿論辺りは見えないままで、二人の手を自らつかむことは叶わない。見えない暗闇に目を慣らそうとしている間、暗闇で鈍い音がして、キルア達が行動に出たのを察する。
というか闇に目が慣れる以前に、元から暗すぎて何も見えないんですけど!私氏、動体視力ks。最大の誤算である。
見えない状態で敵に突っ込む度胸はない。慌てて円を広げてゴンくんとキルアの動きを感知する…が、すでに時遅し。二人が私の手を掴んでくれるのを願っていたけれど、キルアもゴンくんも既に捕まっていて、とてもじゃないが手を掴める状況にない。
……この場に残り再び機会をうかがうか、一旦引くか。恐らく二人の記憶読んだであろうパクノダさんが私を一番に警戒して、選択肢は後者しかなかった。
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未確認歩行物体(プロフ) - たくさんのコメントありがとうございます。まとめての返信で失礼します。しばらく更新していないにも関わらずたくさんの反応を頂きとても嬉しいです!ありがとうございます! (2021年11月24日 18時) (レス) id: 859f873e93 (このIDを非表示/違反報告)
moo(プロフ) - 読んでいく事にチートっぷりを発揮してて面白かったです!最高! (2021年7月8日 14時) (レス) id: 36860c259a (このIDを非表示/違反報告)
なめなめきゃんでぃ(プロフ) - めちゃめちゃ面白くて読んでいてとっても楽しかったです!番外編や次回作など楽しみにしてます!できたらで良いので書いてくれると嬉しいです!素敵な作品を書いてくださりありがとうございました!!! (2021年4月8日 23時) (レス) id: ed253bb936 (このIDを非表示/違反報告)
猫神(プロフ) - とても面白かったです!蟻編楽しみにしています! (2021年1月16日 0時) (レス) id: f54e673977 (このIDを非表示/違反報告)
甲賀忍者(プロフ) - 番外編で構いません!更新いつまでもお待ちしております! (2020年11月12日 22時) (レス) id: 0e780aa7b5 (このIDを非表示/違反報告)
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