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ーー計画した停電の時間まで、あと5分。
作戦を知らない二人に作戦を伝える為、繋がっていない電話に怒鳴り、暗号のようにメッセージを伝えるレオリオ氏の迫真の演技は正直めちゃくちゃ上手かった。本当にどこにでもいそうな迷惑なヤツ。
メッセージも無事2人に伝わった様子で安心。
『!』
しかしその安心を嘲笑うかのようにパクノダという女性が他二人のメンバーと共にホテルに現れ、奴らと合流した。そして疑い深いのか団長と呼ばれる男が、すぐに二人の記憶を調べるようにパクノダさんに指示を出す。
ーーこれは非常にまずい。
"なにを隠しているのか"を探れと、頭を抱えたくなるほど的確な指示をだした団長の男。ここで作戦がバレてしまったら、全てが台無しどころか、ここにいる私達は全員殺されかねない。
記憶を読まれるのを少しでも遅らそうと、足掻くゴンくんとキルア。ダメだ、まだ4分もある。一階でレオリオ氏が新聞で顔を隠しながら、かなり焦っているのが分かる。
あああ、もう、臨機応変にとはこれのことか…!
『っあれ? ゴンくんとキルアくん?』
「! Aじゃん! どうしてここに?」
二階の死角から不自然にならないように出て、声掛けながら階段を降りて彼らに近づく。私に気づいた旅団が全員こちらを向き、察しのいいキルアが驚きながらもすぐに口を開いた。流石です。
『どうしてって、ホテルの利用者ですけど。二人こそ、なに……カツアゲされてんの?』
「ま、そんなとこ……。前に俺たち、金が欲しいって話したろ…」
『え?しようとして逆にされてんの?』
「ちげーよ!カツアゲレベルの金じゃねーって」
『……まさか…。最近話題の…賞金首を…?』
我ながらアドリブにしては上出来だと思う。上手く合わせてくれたキルアにさっと顔を青ざめさせて、周りを見渡す振りをする。
ちょんまげで髭の男と、長い髪で顔の見えない小柄な子。パクノダさんにピンク髪の女性、黒髪眼鏡の女性。団長と呼ばれる、現ターゲットのオールバックの男。
……って、ん?
「…ーーA」
『!? 昨日の…!?』
よく見たらこの人、先日シルバさん達と交戦した後、お話した人じゃないですか…!雰囲気が違いすぎて気づかなかった。「また会えたな」と僅かに目を細める彼。確かに昨日の人だ…!
わりとマジな私のリアクションに、私がキルア達とグルかもしれないという疑惑はなくなったんじゃないだろうか。ていうかもうそれどころじゃない。
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未確認歩行物体(プロフ) - たくさんのコメントありがとうございます。まとめての返信で失礼します。しばらく更新していないにも関わらずたくさんの反応を頂きとても嬉しいです!ありがとうございます! (2021年11月24日 18時) (レス) id: 859f873e93 (このIDを非表示/違反報告)
moo(プロフ) - 読んでいく事にチートっぷりを発揮してて面白かったです!最高! (2021年7月8日 14時) (レス) id: 36860c259a (このIDを非表示/違反報告)
なめなめきゃんでぃ(プロフ) - めちゃめちゃ面白くて読んでいてとっても楽しかったです!番外編や次回作など楽しみにしてます!できたらで良いので書いてくれると嬉しいです!素敵な作品を書いてくださりありがとうございました!!! (2021年4月8日 23時) (レス) id: ed253bb936 (このIDを非表示/違反報告)
猫神(プロフ) - とても面白かったです!蟻編楽しみにしています! (2021年1月16日 0時) (レス) id: f54e673977 (このIDを非表示/違反報告)
甲賀忍者(プロフ) - 番外編で構いません!更新いつまでもお待ちしております! (2020年11月12日 22時) (レス) id: 0e780aa7b5 (このIDを非表示/違反報告)
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