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「やはり錯乱係にはAが適任だろう。私がパクノダを捕え次第、能力を使用しゴンを連れて退散できるか?」
『で、できますけど…』
私の能力を理解したクラピカ氏の、最初のお言葉がこれである。勿論全て教えたわけじゃないけど…。当然のように能力の使用を提案する辺り、どちらにせよ他人からしたら私の能力は、酷く便利な能力に見えるのだろう。
若干の不満を抱えながら、旅団のアジトを偵察に行ったキルアと別に、レオリオ氏が運転する車に乗り込んだ。
……クラピカ氏が念の鎖でパクノダさんを捕らえるまでの一秒、ゴンくんと共に時間を稼ぐ。能力を使い不意打ちという形にすれば、一秒くらいは何とかなる…はず。
それでも気が進まないのは、やはり私が彼らを恨んでいるわけでも、ゴン君たちと違って止めたいとも思っているわけでもないからだろう。特に昨日の黒髪の男には、身バレしてるわけですしね…!
「Aさん、一秒経ったら俺は、Aさんと手を繋げばいいんだよね…?」
『うん、私は素早い動きとか出来ないから、一秒たったらゴンくんの元へテレポートして、勝手に手を掴んで速攻帰るよ。だからやり方は任せるけど、必ず片手は空けといてね』
「わかった!」
一秒経たなくても危ないと思ったら逃げますけど。隣に座って、手をぐーぱーと動かすゴンくん。錯乱係に決まってからずっと緊張している様子だ。相手が相手なだけに、無理もないか。正直私もかなり怖いです…。
「ーーレオリオ、南に向かってくれ」
「おっけェ!」
キルアからの電話を元に、クラピカ氏がレオリオ氏に指示を出し、ターゲットに合わせて車を動かす。そのターゲットであるパクノダさんは六人で行動しているらしい。ちょ、六人は流石に無理ゲーじゃない?そんな事を思っている間にも車は駅の付近に到着し、しばらくしてキルアから聞いていた旅団の姿が見えた。
この車の位置から駅の入口までの距離が間合いだと教えてくれたクラピカ氏の話を聞く。
ーーそこまでは、理解できた。
旅団が急に走り出したかと思ったら、クラピカ氏がドアを開けて追いかけて行った。それに付いていくゴンくん。車に取り残された私とレオリオ氏。え、ええ…。
「ったくアイツら…!って、お前は行かないのか…」
『なにその流れで行けよみたいな。唐突すぎて反応出来なかったよね…』
行かなかったんじゃなくて、行けませんでした。
走るのも得意じゃないですおすし。
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未確認歩行物体(プロフ) - たくさんのコメントありがとうございます。まとめての返信で失礼します。しばらく更新していないにも関わらずたくさんの反応を頂きとても嬉しいです!ありがとうございます! (2021年11月24日 18時) (レス) id: 859f873e93 (このIDを非表示/違反報告)
moo(プロフ) - 読んでいく事にチートっぷりを発揮してて面白かったです!最高! (2021年7月8日 14時) (レス) id: 36860c259a (このIDを非表示/違反報告)
なめなめきゃんでぃ(プロフ) - めちゃめちゃ面白くて読んでいてとっても楽しかったです!番外編や次回作など楽しみにしてます!できたらで良いので書いてくれると嬉しいです!素敵な作品を書いてくださりありがとうございました!!! (2021年4月8日 23時) (レス) id: ed253bb936 (このIDを非表示/違反報告)
猫神(プロフ) - とても面白かったです!蟻編楽しみにしています! (2021年1月16日 0時) (レス) id: f54e673977 (このIDを非表示/違反報告)
甲賀忍者(プロフ) - 番外編で構いません!更新いつまでもお待ちしております! (2020年11月12日 22時) (レス) id: 0e780aa7b5 (このIDを非表示/違反報告)
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