【HUNTER×HUNTER】運命とは複雑なものである。

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私の念能力は、主に逃亡など保身に特化した能力。こんな物騒な世の中。逃げる力こそ私が生き残る為に最も無難で確実な方法だと思ったし、今でもそう思う。
けれど、逃げるだけじゃ解決しないことがある。
例えば相手に勝たなければ前に進めない、強敵に味方が捕まってしまった、なにか逃げれない状態で強敵と対面する等。それは全て誰かと行動を共にするせいなのけど。無慈悲に自分以外のものを全て切り捨ててしまえばいいものを。それができない中途半端な私は結局自分で自分の首をしめている。
それならばもういっそ、戦うための能力も作ってしまえばいい。そう思って最近になって適当な攻撃用の能力を開発していた。まさかそれをよりによってヒソカに見られるなんて。


「テレポートなんて能力をもっている保守的なキミが、選択肢に戦うを取り入れたんだろ？だからボクが、所謂キミの実験台になってあげようと思って◆」

『……』


ヒソカはどこまで私のことを知っているのだろうか…。実験台…。確かに、作った能力がどのくらい念能力者相手に通用するかはかなり重要で、それを試す相手としてヒソカは過不足ない。むしろヒソカに通用したらほぼ全人類に通用しそうだ。どうせ今帰っても特にすることもないから、折角だしやれるところまでやってみるのもアリ…？無理そうならテレポート能力でゾルディック家まで逃げればいい話だし、ヒソカにとってバンジーガムを外せるテレポート能力をもつ私との能力の相性は最悪。私が気を抜きさえしなければ全く通用しないと言っても過言ではないし、殺されることは…ないはず。
…相変わらずヒソカは何を考えているのかは分からない。どうせろくな事じゃないんだろうけど、そんなものは今更か。
この際騙されたと思って、その胡散臭い笑みに乗ってみるのもいいかもしれない。例えヒソカにとって私が遊び道具の一つだとしても、私には知ったこっちゃないしね。



「クク、今のキミは断らないと思ったよ♡」

『…マジで殺しにかかってくるのはやめてくださいね』

「勿論◆」



にんまりと口端をつりあげたヒソカに、以前の私だったら絶対にしないであろう選択をしたことを、私はあとで後悔することになりそうだなぁ…と他人事のように思った。


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