103 ページ14
・
あれから数時間。幻影旅団の団長には念能力の使用と今後一切の旅団員との接触を、パクノダさんにはクラピカ氏の情報を一切漏らすことを禁止し、ゴンくん&キルアと幻影旅団の団長の人質交換を決めたクラピカ氏。人質を交換する場所は、邪魔が入らないように飛行船を使い、人目がつかず見晴らしもいい場所へ移動した。途中でゴンくん達人質を乗せた飛行船に、団長を追いかけてきたヒソカが乗り込んだりとトラブルはあったものの、交渉は成立した。
そのあいだ、念のために交渉に同行したセンリツさんとは別に、私とレオリオ氏は飛行船内の部屋の外で待機していた。
「……なぁ、どう思う?」
『えっ』
「クラピカと奴らのことだよ」
通路の窓枠に寄りかかりながら、難しそうな顔をするレオリオ氏が口を開く。ここには私しかいないから、私に話しかけているんだろうけど。
しかし、質問になっていないレオリオ氏の問に頭上に疑問符しか浮かばない。ねえ話しかける相手間違ったんじゃない?
「俺にはどーも腑に落ちねぇことばっかりだ」
『……あーね、』
言いたいことは何となく分かった。頭をかきながら複雑そうにするレオリオ氏は、きっと仲間思いのいい人なんだろう。いくら協力しているとはいえ、これはクラピカ氏の問題なのに。あっちにもこっちにも同情して、一緒に悩んでいるのだろう。
私も思うことが無いわけじゃないけど、仲間のためにそれほどまで親身になって考えることはなかなかできないと思う。そもそもそう思えるほどの仲間に出会えることは、奇跡に近いのではないだろうか。
イルミさんが近くにいるらしいから、協力してもらえば今すぐにでもゴンくんとキルアを逃がすことだってできるのに、それをしない私は一体どちらの味方をしているのだろうか。誰一人と報われていないこの争いのどちらかに加担をすれば、誰かが満足するのだろうか?
ただ分かるのは、
『私はこういう空気は苦手だなぁ』
「平和主義って感じだもんな」
分かってんじゃん、とレオリオ氏と顔を見合わせて笑うと、大きな手に何故か頭を撫でられた。お前私のが年上ってこと忘れてないだろうな…。
「とりあえず今はゴンとキルアの顔をみて安心したいぜ」
『分かる』
「……なんか俺たち夫婦みてーだな」
『ごふっ』
「おいコラ」
・
1576人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
未確認歩行物体(プロフ) - たくさんのコメントありがとうございます。まとめての返信で失礼します。しばらく更新していないにも関わらずたくさんの反応を頂きとても嬉しいです!ありがとうございます! (2021年11月24日 18時) (レス) id: 859f873e93 (このIDを非表示/違反報告)
moo(プロフ) - 読んでいく事にチートっぷりを発揮してて面白かったです!最高! (2021年7月8日 14時) (レス) id: 36860c259a (このIDを非表示/違反報告)
なめなめきゃんでぃ(プロフ) - めちゃめちゃ面白くて読んでいてとっても楽しかったです!番外編や次回作など楽しみにしてます!できたらで良いので書いてくれると嬉しいです!素敵な作品を書いてくださりありがとうございました!!! (2021年4月8日 23時) (レス) id: ed253bb936 (このIDを非表示/違反報告)
猫神(プロフ) - とても面白かったです!蟻編楽しみにしています! (2021年1月16日 0時) (レス) id: f54e673977 (このIDを非表示/違反報告)
甲賀忍者(プロフ) - 番外編で構いません!更新いつまでもお待ちしております! (2020年11月12日 22時) (レス) id: 0e780aa7b5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ