【HUNTER×HUNTER】運命とは複雑なものである。

101 (クラピカ視点) ページ12

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……蜘蛛のリーダーの言う通りだ。私は、Aの事を何も知らない。キルアの血の繋がらない姉であること。移動系の能力を持っていること。知っていることはたったそれだけ。彼女がどういう環境で生まれ育ち、何を理由にゾルディック家で過ごし……今、何を考えているのか。
彼女が私達に心を許していないことなど、最初から分かっていた。


ーーお前達は随分とこの女を信頼しているようだが、この女はそうじゃないだろう？


殺したいほど憎む男のその言葉に、私はそれに言い返すことのできない自分に憤りを感じたのだ。


『黙っていてごめん。けど、話す必要の無いことだと思ってる。それに、彼との関係も大したことじゃないよ。みんなに不利益を及ぼすようなことじゃないし、これからもない』


近く置かれる距離のあるその言葉。嘘では無いと証明してくれたセンリツに、なんとも言えない虚しさを感じた。それが何故なのかは分からない。
Aの頬に手を添え、血が滲む患部を親指でそっとなぞり、もう一度謝る。少しだけ痛みに顔を顰めて、更に困った顔をするA。

分かっている、分かっているんだ。
お前にとって私も蜘蛛も、どちらも大して重要なことではないのだろう？

驚くほど主観的な考えを持つくせに、不服そうにしながらも結局は付き合ってくれるお前の優しさに、勝手に気を許して勝手に信頼しているのは、私だけだ。



「……ずるいやつだな、」


お前は。
こんなにもそばに居るのに、簡単にいなくなってしまいそうで。



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