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私の部活の後輩、”影山飛雄”には全く隙がない。
他人が引くレベルのストイックで、バレーノートを書いたり、走り込みをしたりと
常に隙がない。
そんな彼の事を知りたいと思ってしまった。
学年は2つ違うし、家だって反対方向。
共通点はバレー部だということぐらい。
「(部活時間だって限られてるし…、諦めるしかないのかな。)」
ドリンクを作りながら、ボーっと考える。
流石に毎日3時間前後の活動の中じゃ”バレーにストイック”という事しか分からない。
好きな食べ物とか、趣味とか…まぁ、趣味は大体予想がつくけど。
「はぁー…。」
「随分と大きなため息ですね、瀬嵐さん。」
「月島、どうかしたの?また練習抜け出したとか?」
「…。」
「あ、図星だ(笑)。後でコーチに怒られても知らないぞ?」
月島は私の隣に膝を抱えて座り込んだ。
彼は烏養コーチに「スタミナがない!」とハードなメニューを
与えられることが良くある。
なのでサボるときなどは良く私のところに来るのだ。
「瀬嵐さんなら、庇ってくれそうなので。」
「甘やかしません。私がドリンク作り終えるまでだからね。」
「はーい。」
涼しい風が吹き抜け、火照った体を冷ましていく。
ジワリと浮き出た汗が乾いて、結晶のように固まっていく。
「瀬嵐さん。」と月島が口を開いた。
「ん?」
「王様の事、好きなんですか?」
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作者名:大海渡 | 作成日時:2024年4月26日 6時