【HQ!!】逆向きの下心。【及川徹】-完-

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『暑いなぁ〜』





ワイシャツを第2ボタンまで開けて、パタパタと胸に風を送るA。





3年生、7月。





及川「Aそんな胸元開けてると悪い男の人に襲われちゃうよ？」



岩泉「それはお前だろーが」



『言うてやれ一(はじめ)！』



花巻「そーいや、Aが入部してきてから2年だな丁度。」



『早いな、時が経つんは。』



松川「Aの関西弁は一向に標準語にはならなそうだけどな」



『ははっ、いつかなるんかなぁ』





午後7時。





花巻「アイス食いたくね？」



及川「マッキーナイスアイデア」



松川「コンビニ行くか」



花巻「行くぞ〜」





日も長くなって、7時は十分明るいこの季節。





5人で帰路を辿る。





丁度分かれ道の交差点のすぐ手前にあるコンビニで買い食いするのが半分日課のようになっていた。





『うち何食べようかなぁ〜』



岩泉「Aはいつも雪見だいふくだろ」



及川「俺はパピコ〜」



花巻「聞いてねぇよ」



及川「ひどっ！」





好みが分かるほど仲良くなっていた。





引退も迫ってくる。





高校最後の春高までちょうど半年くらい。





涼しい店内を出て、




アイスの袋を開けながら喋る。





『せや、監督とコーチの話聞いてもうたんやけど』



花巻「なんだそれ、怖ぇな」



『再来週合宿あるやん、あれ白鳥沢と合同らしいで』



「「「「え？」」」」



『もう1回言おか？』



及川「待って待って待って、牛若ちゃんたちと一緒にやるってこと？」



『いや、正確には、同じ場所？らしいで』



岩泉「危ねぇ、合同練習とか言われたらどうしようかと思ったぜ」





どこかAは楽しそうだった。





『楽しみやな、合宿』





ほら、誰よりも嬉しみそうな顔。





松川「物好きだなぁ合宿好きなんて」



『1日中、みんなのバレー見れるんやで？最高やないか』



花巻「Aってたまに可愛いこと言うよな」





みんなのバレーを見るのは好きでも、





俺のバレー見て好きになってくれなかったじゃん。





『うちはみんながバレーしてる姿が好きなんや』



花巻「下心皆無だな」



『下心なんてあらへん。アンタらに出会えて良かった思ってるで、うちは。』



岩泉「まだ引退でも卒業でもねぇぞ」



『せやな、こんなくさい言葉それまで取っとかなあかんな！笑』





でも嬉しかったよA。





俺も、Aに出会えてよかった。





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