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縁下「お前は作らなくていいよ、彼氏」
「な、なんで?」
縁下「なんでも」
学校を出て、ほんとに私の家の方向に歩きながら縁下は言う。暗くて表情はよく見えないけど機嫌がいいわけじゃなさそうだ。
縁下「…Aには、なんでも受け止めてくれる人が合うんじゃない?」
「それ、嫌味…?」
縁下「はは、そーかも」
乾いた笑い声が響く。
受け止めてくれる人、ねえ。
「………そうなると、縁下みたいな人ってことだよねー」
縁下「え…」
「だってそうでしょ?縁下って好きな子の事ならなんでも受け止めてくれそうだもん」
実際ちらほら縁下いいよねーって声も聞くし。
引退してバレー以外に余裕ができるようになったら相当モテるんじゃないだろうか。
「くそー、縁下の彼女になる子は絶対幸せだろうなあ。」
縁下「…」
「縁下?聞いてる?」
縁下「…なる?」
「……え?」
縁下「俺の彼女」
思わず立ち止まった私に首だけ振り返って縁下は言った。その目が真っ直ぐすぎて心臓がバクバクと鳴っている。
言ってる意味が理解できなくてただ縁下を見ることしかできなかった。
「あの…え?縁下?どういう意味…」
縁下「…なんてな!」
「……」
「冗談だよ冗談」って笑う彼は前を向いて歩き出した。
頭が追いつかなくてとりあえず隣に並ぶけど縁下の顔が見れない。
縁下「まあ、焦らなくていいと思うよ。Aはかわいいんだからその気になればできるよ、彼氏」
「かわ…ほんとに縁下?どうしちゃったの?」
縁下「…いつも通りだよ。…ただちょっと焦っただけ」
焦ったって?と聞く前に「さ!明日も早いんだからゆっくり休みなさい!」と背中を押されて前を見ると山田の表札が目に入った。いつの間にか私の家まで歩いていたようだ。
「わ、ごめん家まで!ありがとう縁下!」
縁下「おう、じゃあまた明日」
「うん、おやすみ!」
なんとなく顔を見るのが恥ずかしくて急いで背を向けて家の扉を開けた。
「(顔があつい…縁下の彼女、かあ)」
まさかね、なんちゃってーと自分に言い聞かせながら「ただいまー!」と靴を脱いだ。
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意外とアリかも
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作者名:もぐ | 作成日時:2017年8月11日 0時