第37夜 ページ37
「朝霧、朝霧。来るところを間違えているぞ。」
「れ、んごく…?」
辺り一面真っ白な空間は、上下も、左右もなく、ただ朝霧と、朝霧の目の前の亡き同僚だけが立っていた。
元炎柱・煉獄杏寿郎。
真実を知る前に、殉職した、誰よりも責任感があり、柱としての誇りを捨てなかった、鬼殺隊士。
煉獄の訃報を聞いた時、自分が何を思ったのかなんて、覚えていない朝霧は、煉獄の方へと手を伸ばしたが、その手は煉獄の手によって静止された。
「御館様は、それを望んでおられない。」
〈涼雅。私はね、君に生きて欲しいんだ。君が死んでいいのは、君がその命を尽くした時だよ。〉
御館様の声が重なって聞こえた気がした。
「いいか、朝霧。お前の命には、限りがある。」
〈忘れないでください。貴方の命に、限りがある事を。〉
胡蝶の声が重なって聞こえた気がした。
「俺が言えるのは、それだけだ!」
〈お前は、一人じゃない。〉
伊黒の声が重なって聞こえた気がした。
朝霧は後にそう語る。
「待って!待ってくれ!お願いだ、煉獄!!」
「お前は仲間だ!忘れるな!!!」
濃い霧が襲いかかり、やがて煉獄の姿は見えなくなっていく。
離すまいと、まだだ、と朝霧はその後を必死に追いかけるも、煉獄は一向に見当たらない。
次の瞬間、強い風が吹き、朝霧が目を瞑ると、懐かしい気配が彼を襲った。
「涼雅。お前がなんのために剣を振るうのか、忘れてはダメだ。前に、進め。どんなに小さな事でも、それがお前を照らす____。」
「雨月さッ!!?」
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天麩羅 - わわわ更新されてるぅぅううう!! (2020年3月15日 22時) (レス) id: eb9a0c61ed (このIDを非表示/違反報告)
天麩羅 - わぁーーーぁああああ!面白いぃぃぃぃいいいい!更新頑張って下さいぃいい!! (2020年3月14日 22時) (レス) id: eb9a0c61ed (このIDを非表示/違反報告)
小坂谷 真夜(プロフ) - いおりさん» ありがとうございます。そのようなお言葉本当に嬉しい限りです。 (2020年2月1日 22時) (レス) id: 79a8fd2e1c (このIDを非表示/違反報告)
いおり - めっちゃどタイプの小説きたーーーっ、これからも期待して待ってます。更新頑張ってください (2020年1月12日 14時) (レス) id: bce55b4438 (このIDを非表示/違反報告)
小坂谷 真夜(プロフ) - mo4さん» コメントありがとうございます。そう言っていただけて嬉しいです。 (2020年1月12日 13時) (レス) id: 79a8fd2e1c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:小坂谷 真夜 | 作者ホームページ:@lotus_1022
作成日時:2019年9月9日 22時