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第33夜 ページ33

「………いい加減出てきたらどうなんだ。」

夜。
朝霧は隊服のまま、日輪刀片手に庭へと出た。
屋敷の庭には当然ながら誰も居ない、筈だった。

「隊士の数が減った事に気付かぬ訳が無い。それに最近妙なものを度々見かける。」

ベベンッ

「なぁ、鬼舞辻無惨。」

琵琶の音とともに朝霧の目の前に出現した襖から現れたのは宿敵・鬼舞辻無惨であった。
朝霧は鬼舞辻を睨み付けると、日輪刀を鞘から引き抜く。

鬼舞辻は恐れることなく、朝霧に近寄り、寸前まで来ると、その口を開いた。

「二十年ぶりと言ったところか、朝霧涼雅。」
「…俺は忘れもしない。仲間を失った日を、お前に殺された日を。」

朝霧は隙もなく型を繰り出すも、鬼舞辻は悠々とその攻撃を交わしていく。
その表情には焦りなどはなく、余裕だけが見られる。

圧倒的な力の差が、そこには見えていた。

「何故!攻撃しないッ!」
「お前を殺すことが目的ではないからな、元から。」

鬼舞辻は己の腕を変貌させると、朝霧を掴み取り、月に被せるように掲げ挙げた。

朝霧は抵抗しようにも、出来ず、その圧力の強さに顔を歪めた。


「どう、するつもり、だ。」

その言葉に鬼舞辻は嘲笑をうかべる。
鬼舞辻は腕を元に戻すものの、朝霧の右腕を掴んだままだった。
その握力は未だに強いままであり、へし折られたり、鬼にされる可能性がある今、朝霧は下手に手を出せない。

「産屋敷への手土産だ。」
「なッ!?」

朝霧はその言葉に凍り付いた。
厳重に産屋敷邸は隠されているにもか変わらず、いとも簡単に見つけられてしまった上に、お館様の命が危ないとなった。

朝霧は圧倒的な力の前で、無力さを痛感する。


ベベンッ

琵琶の音が再びなると、屋敷の庭から二人は消え去った。

第34夜→←第32夜。



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天麩羅 - わわわ更新されてるぅぅううう!! (2020年3月15日 22時) (レス) id: eb9a0c61ed (このIDを非表示/違反報告)
天麩羅 - わぁーーーぁああああ!面白いぃぃぃぃいいいい!更新頑張って下さいぃいい!! (2020年3月14日 22時) (レス) id: eb9a0c61ed (このIDを非表示/違反報告)
小坂谷 真夜(プロフ) - いおりさん» ありがとうございます。そのようなお言葉本当に嬉しい限りです。 (2020年2月1日 22時) (レス) id: 79a8fd2e1c (このIDを非表示/違反報告)
いおり - めっちゃどタイプの小説きたーーーっ、これからも期待して待ってます。更新頑張ってください (2020年1月12日 14時) (レス) id: bce55b4438 (このIDを非表示/違反報告)
小坂谷 真夜(プロフ) - mo4さん» コメントありがとうございます。そう言っていただけて嬉しいです。 (2020年1月12日 13時) (レス) id: 79a8fd2e1c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:小坂谷 真夜 | 作者ホームページ:@lotus_1022  
作成日時:2019年9月9日 22時

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