. ページ2
「谷地さん、ここだったんだ」
「うん。あ、市川さん、こちら私達と同じ同期になる国見くん」
「えっと、市川Aです。よろしく…」
「国見英、よろしく」
淡々と真顔でやり取りする私と国見さんを見て谷地さんがクスリと笑った。同期になるのにそんな堅苦しくなくてもいいと思うんだけどなあ、なんていう谷地さん。そういう谷地さんだってこの前の研修ではすごく堅苦しかったけど。
研修は男女で分かれて行われたため男性の同期と顔を合わせるのは今日が初めてなのだ。
聞けば二人は地元が同じで部活でライバル校だったため交流があったようで私を挟んで「影山はどこに就職したの」などの会話をしている。
そんな二人の会話を聞いていたら緊張はどこかに消えていて、どこの部署になるかなあなんてことを考えていたら時間になり、ガラッとドアが開いて研修でもいた人事の人が入ってきた。
「おはようございます。早速ですがそれぞれの部署に行ってもらいます。国見さん、市川さんは営業部、谷地さんは――――」
営業部、と聞いて身震いした。
ここは大手企業と世間では言われていてその中でも営業部は繁盛期はとてつもなく忙しいと聞かされていた。
一人ではなく国見さんと同じ、仲は決して良くもないが同じ立場の人がいるだけで安心した。営業部は3階にあるようで国見さんと二人、無言のままエレベーターで営業部に向かう。
そういえば自分のことばかりで忘れてしまっていたが谷地さんはどこの部署になったのだろうか。休憩になったら連絡を入れてみよう。
そう決めてエレベーターを降りれば二人、上司であろう男性がいて私と国見さんを見て、片方の茶髪の男性が「ようこそ、営業部へ」と微笑んだ。
「市川Aです!よろしくお願いします」
「及川徹、一応二人の教育係だけど、俺は主に国見ちゃん担当らしいけど分からないことは何でも聞いてね!」
「国見ちゃん?」
国見さんは男だよな?と疑問を持って首をかしげると隣にいた国見さんがはあとため息をついた。
いや上司の前でため息つくのはどうなんだ。
ハラハラしていると及川さんの隣に立つ黒髪の天パっぽい人が口を開いた。
38人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:お湯 | 作成日時:2019年5月9日 19時