光に熔ける 【名探偵コナン】

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松田side


『もっと、もっと近づけないのっっ！？』


『ダメだ、あの少女と戦ってる男が危険過ぎる！！


これ以上はビルかそいつに衝突して落下する！！』


『あんな小さな子が頑張ってるんだぞ！！？


俺たちは何も出来ないって言うのかッ！！？』


嗚呼、馬鹿野郎。


唯一外の姿が報道されているテレビ局の放送だった、俺たちの如く空港に避難している奴はかなり多い。


何せ都心部だ、しかも首都、その空港の収容可能人数は言うまでもない。


そんな中騒動になっていたのがこのニュースだった。


空港には幾つもの……という程多くもないが、異変に気付いてしまったのは少なくなかった、無論SNSには秒で拡散された。


「あ、ああ、巴ちゃん、」


「落ち着け萩、……巴ならきっとやってくれる」


「そんなことじゃない、そんなことじゃなくて」


「わかってる」


分かってるから何も言うな。


それしか掛けられる言葉が見つからなかったのだ。


警察官として、少なくとも国なんて、世界なんてものはどうでもいいと、俺達は豪語できるような立場じゃない。


大人になってしまったのだ、ただ一人の人間としてここで傍観するしかなくて、役立つことなんて何も出来ない。


精々人間をここに避難させればそれで終了だ、同僚の安否確認も出来れば万々歳なこの状況でそれ以上に何が出来るというのか。


俺達には皆目見当もつかなかった。


少なくとも、身の安全だとか組織の立場なんて知らないような目の前のニュースキャスターと巴は、眩しく思えた。

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