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三十五話 ページ37

A視点




男の醜い争いを俺は聞き(流し)続ける。

茶を飲みたいな、とかをぼんやり考えながら。



だが、運命は俺を弄ぶのがお好きらしい。



「………このまま言い合っても埒があきませんな。

ここは鶯丸殿に決めて貰いましょう。この部屋の主は鶯丸殿です」


「まぁ、それが一番いいかな。誰も文句言わないだろうし」


「異論はない」


『別に何でも良いんだが………』



俺のこと巻き込まないでくれない??と云う切実な心の声は言葉にする事すらできない。

だって其処に居る一期さんが怖すぎるもん。言葉に出来る訳ねぇって………



俺は永遠にも思えるが意外と短い時間悩んだ末、答えを口に出す。



『では、一期と燭台切に十分ずつ話を聞こう。大包平の話は二人が帰った後に幾らでも聞く。

それでいいか?』



これが最大限の譲歩だ。

一期さんを放置したら後が怖いし、燭台切を放置するのはなんか悪いし………



幸い、二人はまぁ其れならと少し納得がいってなさそうな顔をしながらも頷いてくれた。

そして大包平が他の二人にドヤ顔している。何故だ。



俺は少し首を傾げるが、まぁ別にどうでもいいかと適当に思考を断ち切る。



すると、一期一振から悪魔の言葉を告げられる。



「では、最初は私からで宜しいですかな」


「お昼ご飯が覚めちゃうな………まぁどうせ後で一期君とも話して食べれないだろうし、良いよ」


『最初は一期か。わかった』



ま、うん、どうせ話す事になるんだし。

………怖い………



俺が内心震えていると、大包平と燭台切が部屋を出て行く。



あっ本当に二人きりになって話すの?他の二人も部屋に居る訳じゃ無いの?

えっマジで?凄い心細いんだけど。



二人きりの部屋に一瞬の静寂の時が流れ、直ぐに一期が口を開く。



「鶯丸殿、最初にお見かけした時よりも随分と良くなられていて安心しました。

あの時は、とても生きているとは思えませんでしたから」


『そうか。それは心配を掛けたな』


「いえ………然し、その、治らない傷の事は平野から聞きましたが………

酷い、ですな。そんな事をする者が居たのですか」


『これ位は何ともない。もっと酷い時もあった。

今は傷も痛まないし、何をされる事も無い。これ位は細かい事だ。細かい事は気にするな』



まぁ殆ど兄貴の所為だし、家に居た頃は悪戯とかの所為も含めもっと酷い時とか普通だったし。

そこまで云って(考えて)気付く。



一期一振って実は良い奴では?

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リオン♛ - 四十話の仕組み凄いですね❗ (2022年7月28日 9時) (レス) @page43 id: b70e4d72d6 (このIDを非表示/違反報告)
梨の子(プロフ) - 今更ですけど青くして調べるって押したら出てきましたよ!! (2021年7月23日 10時) (レス) id: 52f349caa9 (このIDを非表示/違反報告)
豆腐教信者(サブ垢)(プロフ) - 彼岸花さん» あれ?なんででしょう……? (2018年10月24日 16時) (レス) id: 787e58ff6d (このIDを非表示/違反報告)
彼岸花(プロフ) - 四十話の文字を選択で青くしても見れませんでした… (2018年10月24日 3時) (レス) id: da7e05a086 (このIDを非表示/違反報告)
豆腐教信者(サブ垢)(プロフ) - 阿国さん» いえいえ、こちらこそこの作品をご愛読下さり有難う御座います! (2018年10月11日 19時) (レス) id: 787e58ff6d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:豆腐教信者 | 作者ホームページ:   
作成日時:2018年9月15日 19時

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