【歌い手】僕がきみにプロポーズする5つの理由【短編集】 (ページ37)

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um... make up? dress up? ページ37

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「んぐ」

そんな、色気のないかわいげのない声を出したのは、上に洗濯物を積んだ、あたしの旦那さん。やったのはあたしなんだけど。

「なにしてんの」

「起きないから起こしたの」

だって、二時だよ。あたし、もうひとりで朝ごはんも昼ごはんも食べたんだけど。寂しかったんだけど。理想は、ふたりでその日したいことを話しながら食べるはずだったんだけど。

「今日はどこ行く？」

「りんご飴食べたくない？」

「祭りあったっけ？」

「いや、ないから作ろ」

もしかしたら、どっかでやってるかもしれないけど。多分ないよね。うん。

「え、りんご飴って作れるの？」

「作れるんじゃない？」

「どんなのがいい？」

「んー、シナモン効いてる焼き林檎みたいなやつ？」

「それもう焼き林檎食べようよ」

「焼き林檎って、焼くじゃん」

「あ、だめだわりんご飴作ろ」

なんて即決するのには理由がある。前、シリコンの鍋敷きが置いてあるのに気づかないでコンロの火をつけてしまって、火事になりかけたこと。
それから、雪見もそうだし、家族たちは頑なにあたしに火を使わせない。

さすがにもうしないよね、そんなこと。って言っても信じないのがまいふぁみりーだよね。

「りんご飴も火使うじゃんか！もうりんごむいてあげるから座ってて！」

なんて、寝起きから数分のきみに叫ばれるくらいには心配されてるのかな。いや、ごめん。