悲嘘 31 ページ31
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「よかったねえ
出たがっていた外に出れたじゃないか」
『ちが…っ』
本当は気づいていた
きっと、こうなると
あのまま上手く逃げ切れる訳がない
太宰さんは私を逃がしてはくれない
わかりきってた事に、それは恐怖で
悲しくはなかった
「おかえり、Aちゃん
…もう逃がさない────」
悲しかった
芥川君に、騙された
少しでも信じていた私に落ち度があった事が悪いけれど
それでも、裏切られるなんて思ってなかったから
悲しくてどうにかなりそうだよ
巻き込まれていたのは、私じゃないか
「ああ、そのままだと何も見えないね
今取ってあげるよ」
彼の細い指が頬に触れ、優しく目隠しを取ってくれた
あまりの眩しさに目がしょぼしょぼする
「ここが、私達の新しい家だよ
ここなら誰にも見つからない」
視界が安定し、広がっていたのは壁も床も家具も全て真っ白の部屋
何も色のない
『なにこれ…』
「ふふ
白なら、私の色に染められるだろう?」
これは、私の心か
・
「おはようAちゃん」
『…おはようございます』
日増しに私の体も心も彼に侵食されていくのがまるでわかる
もう逃げる気力が残っていないから
ここで、生きていくしかなくなってしまったから
やっと気づいた
ここで生き残る為には、彼に従わないと
生きていかれないから
まるで私が私じゃないみたいで、もう彼がいない生活なんて考えられない
「Aちゃん、お腹空いたでしょ?
朝ご飯食べようか」
『…はい』
私が言う事を聞いていれば
彼は優しくしてくれるし、私の身の回りの世話も全てしてくれる
ご飯も3食きちんと食べさせてくれる
彼への恐怖も、逃げる気も忘れてしまった
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茉耶 - 最近あひゃこさんの夢小説ばっかり見ていつも泣いてます!毎回いい作品をありがとうございます!!また太宰さんの小説書いて欲しいです! (2019年8月11日 16時) (レス) id: 2037e6e45f (このIDを非表示/違反報告)
−こま−(プロフ) - 太宰さんんんんん!!かっこいいーー!!!好きですううう!作者さんも、太宰さんも愛してます← (2018年11月22日 20時) (レス) id: 43a4a6fc1b (このIDを非表示/違反報告)
長月冬麻(プロフ) - すっっっごい面白かったです!ヤンデレ文豪さん、ほわぁ…真逆中也さんがあんなことをしていたなんて、さいっっっこうのドンデン返しでしたっ!私あんまり死落ちのヤンデレさん好きではないんですけど、すっっっごい面白くて、好き以外に選択肢がなかったです。 (2018年7月28日 19時) (レス) id: 0ab6a974b3 (このIDを非表示/違反報告)
あひゃこ(プロフ) - かしさん» コメントありがとうございます! いつも死ぬ時は大体途切らせちゃってるのでわかりずらいんですよね(><)すみませんm(_ _)m 閲覧ありがとうございます! (2018年6月19日 21時) (レス) id: 782bc5610f (このIDを非表示/違反報告)
かし(プロフ) - 物凄く面白かったです!最後に夢主の回想が途切れた時はえ?あれ?タブレット壊れた?と思いましたが、そう言うことだったんですね! (2018年6月19日 17時) (レス) id: 5b825520a3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:私です x他1人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/my.php
作成日時:2018年3月27日 11時