検索窓
今日:37 hit、昨日:2 hit、合計:152,376 hit

任務37 ページ4

.



『ん…』





カーテンの隙間から差し込む日差し。



窓の外では雀が鳴いている。



時計の針は、既に6時を回っていて。






もう朝か。



…起きなければ。







そうは思っても、低血圧の私が目覚めてすぐに立ち上がるというのは非常に困難で。




眠い。


眠すぎる。


今日学校休もうかな…






なんて寝ぼけた頭で考えていると。







コンコンッ


「Aちゃん、起きてるー?」


ノックの音と共に、太宰の陽気な声が耳に入ってくる。



『起きてるよ』


「入るねー」




返事をすると、私の許可も取らずにズカズカと入ってくる彼。



『デリカシーの欠片もねえな』



「今更だよ。国木田くんが朝ごはん出来たからおりてこい、だってさ。









ところでAちゃん、泣いているのかい?」






『え?』






太宰に言われて初めて気付く。


頬に手を当てれば、確かに少し濡れていて。



そんな私を見て、心配そうに顔を覗き込む太宰。







…前まではそんな表情したこともなかったのに。



どこまでも冷酷で、慈悲の心なんて少しもなくて。








君はすごいよ、織田作。



心が揺れることなんてなかった太宰を、ここまで変えてしまったのだから。







.








.









『少し、懐かしい夢を見ていた気がする』









いつの間にか眠気はすっかり無くなっていて、未だ不安げな顔をする太宰に、そう微笑みかける。




「そうか」




すると太宰も、安心したように静かに目を閉じた。









『ねえ、太宰"さん"




私には、正義も悪も分からないけれど、どんな理由であれ、どんな世界で過ごしていたとしても




人を救う方が、幾分か素敵だと、そう思うよ』




「ああ…私もだ」







太宰も私も、あなたに救われた。






『人を救う側になれ、か』



「何か言った?」



『…ううん、なにも』



「??」







夢の内容は覚えていないけれど、その言葉だけは脳裏に焼き付いて離れない。




過去に、織田作が私と太宰に言った言葉。




このまま一生、忘れることは無いのだろう。





.






.







.








.

任務38→←任務36



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (176 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
431人がお気に入り
設定タグ:文スト , ハイキュー , ギャグ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

莉璃果 - とても面白い作品ですね!!!続き待ってます!!! (2021年2月6日 8時) (レス) id: 26fb4aff77 (このIDを非表示/違反報告)
ちぃ - 好きな要素がたくさん入っていたので読ませていただきました!夢主ちゃんがかっこよく、面白いです! (2020年5月22日 14時) (レス) id: fb052ccfd9 (このIDを非表示/違反報告)
無気力のおにぎり(プロフ) - 文ストにハイキューどちらも大好きでこのお話読ませていただいてます。とてもおもしろいです!これからも応援しています。 (2020年5月16日 1時) (レス) id: 366eb10de3 (このIDを非表示/違反報告)
夢野舞(プロフ) - 文豪ストレイドッグスとハイキュー、悪女潰しという私の大好物が揃いに揃ってました!凄く面白いので更新頑張って下さいね! (2020年5月10日 21時) (携帯から) (レス) id: 7a28175adf (このIDを非表示/違反報告)
ありさ(プロフ) - ハイキューと文ストのお話からの悪女潰しのお話好きです!これからも更新頑張ってください! (2020年4月7日 9時) (レス) id: 2c7a607a36 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:真田礼 | 作成日時:2020年3月29日 18時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。