任務37 ページ4
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『ん…』
カーテンの隙間から差し込む日差し。
窓の外では雀が鳴いている。
時計の針は、既に6時を回っていて。
もう朝か。
…起きなければ。
そうは思っても、低血圧の私が目覚めてすぐに立ち上がるというのは非常に困難で。
眠い。
眠すぎる。
今日学校休もうかな…
なんて寝ぼけた頭で考えていると。
コンコンッ
「Aちゃん、起きてるー?」
ノックの音と共に、太宰の陽気な声が耳に入ってくる。
『起きてるよ』
「入るねー」
返事をすると、私の許可も取らずにズカズカと入ってくる彼。
『デリカシーの欠片もねえな』
「今更だよ。国木田くんが朝ごはん出来たからおりてこい、だってさ。
ところでAちゃん、泣いているのかい?」
『え?』
太宰に言われて初めて気付く。
頬に手を当てれば、確かに少し濡れていて。
そんな私を見て、心配そうに顔を覗き込む太宰。
…前まではそんな表情したこともなかったのに。
どこまでも冷酷で、慈悲の心なんて少しもなくて。
君はすごいよ、織田作。
心が揺れることなんてなかった太宰を、ここまで変えてしまったのだから。
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『少し、懐かしい夢を見ていた気がする』
いつの間にか眠気はすっかり無くなっていて、未だ不安げな顔をする太宰に、そう微笑みかける。
「そうか」
すると太宰も、安心したように静かに目を閉じた。
『ねえ、太宰"さん"
私には、正義も悪も分からないけれど、どんな理由であれ、どんな世界で過ごしていたとしても
人を救う方が、幾分か素敵だと、そう思うよ』
「ああ…私もだ」
太宰も私も、あなたに救われた。
『人を救う側になれ、か』
「何か言った?」
『…ううん、なにも』
「??」
夢の内容は覚えていないけれど、その言葉だけは脳裏に焼き付いて離れない。
過去に、織田作が私と太宰に言った言葉。
このまま一生、忘れることは無いのだろう。
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莉璃果 - とても面白い作品ですね!!!続き待ってます!!! (2021年2月6日 8時) (レス) id: 26fb4aff77 (このIDを非表示/違反報告)
ちぃ - 好きな要素がたくさん入っていたので読ませていただきました!夢主ちゃんがかっこよく、面白いです! (2020年5月22日 14時) (レス) id: fb052ccfd9 (このIDを非表示/違反報告)
無気力のおにぎり(プロフ) - 文ストにハイキューどちらも大好きでこのお話読ませていただいてます。とてもおもしろいです!これからも応援しています。 (2020年5月16日 1時) (レス) id: 366eb10de3 (このIDを非表示/違反報告)
夢野舞(プロフ) - 文豪ストレイドッグスとハイキュー、悪女潰しという私の大好物が揃いに揃ってました!凄く面白いので更新頑張って下さいね! (2020年5月10日 21時) (携帯から) (レス) id: 7a28175adf (このIDを非表示/違反報告)
ありさ(プロフ) - ハイキューと文ストのお話からの悪女潰しのお話好きです!これからも更新頑張ってください! (2020年4月7日 9時) (レス) id: 2c7a607a36 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:真田礼 | 作成日時:2020年3月29日 18時