8日目____(3) ページ27
「姫.....なぜあのようなことを聞きしか」
魔王様に言われ、少し森に出て外の空気を吸っていたわたくしとアスティさま。
なんだか不安げな顔で急に、そんなことを聞いてきたので、
やっぱりいけない質問だったのね.....と反省する。
「いえ、その.....あの魔王さまがああまでして守られる秘密というのが
とてつもなく気になってしまうのです。わたくしは悪い子です」
わたくしがうつむくと、彼はそっと、聞こえるか聞こえないかの声で言った。
「あなたは悪くないわよ。悪いのはアタシたちなんだから」
ぽんぽんと肩を叩かれる。
といっても、撫でられるほどの優しいその手に、もう泣きそうだった。
「大変よね、あなたも。
目的も分からず急にこんなとこ連れてこられてさ、それで.....
変なことに巻き込まれるっていうんだから。不安にもなるわ。
だけどね、あの魔王様がすることなんだからきっと何か理由がある。
あなたを危険な目にあわせたりだとか、死なせたりとかは絶対にないわ。
アタシが保証するから、ね。」
にっこりと笑うその姿に、城の使用人を思い出す。
幼い頃からわたくしに優しくしてくれたあのひとを.....
もの思いに耽りそうなところで、また別の声が聞こえてきた。
「わたしもそう思います」
「モーデン、あんた寝てなくちゃ傷が.....というか魔王さまは!?」
「フフ、看病疲れでしょうね。
眠ってしまわれましたよ。姫も休みなさい」
まだ少し痛みますがこのくらいは魔族の根性です、と
わたくしに笑いかけるモーデンさま。その顔をみるに、わたくしを元気づけようとしてくれているに違いない。
ではお言葉に甘えて。わたくしは一旦中に入ることにした。
.
「ああ、あなたの言う通りですアスティ。
あのひとは誰かを傷つけてしまったことに対して、あんなに真摯に向き合える。
皆気づきません。自分の小さな一言だとか、行動で誰かを傷つけているだなんて。
そう、とても立派なひとなのです。彼は周りの変化や感情にとても敏感で、
言わずもがな全員に慕われています。けれどただ、彼は.....そう、」
モーデンもアスティも口を揃えて、
「「優しすぎる」」
「勇者にも、姫にしたみたいに優しくして武器もとらずに殺されそうな気がしてアタシ、嫌なの」
「大丈夫。この命を捨ててもあのひとと姫を護りましょう」
「そうね....。」
雨がしとしとと降り続けて、空は鈍く笑っていた.....。
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ファイアー@宝石の国沼(プロフ) - arisunekoさん» 分かりました!更新は遅くなるかもしれませんが必ず登場させたいと思います!ありがとうございます! (2019年6月9日 21時) (レス) id: 58297e2569 (このIDを非表示/違反報告)
arisuneko - ん〜、いつも冷静に物事を見ている的な! (2019年6月9日 20時) (レス) id: 322193fd57 (このIDを非表示/違反報告)
ファイアー@宝石の国沼(プロフ) - arisunekoさん» おお〜〜素敵なキャラをありがとうございます!!実在の魔族しか募集しないつもりでしたが.....素敵です!!性格などの指定はありますか? (2019年6月9日 16時) (レス) id: 58297e2569 (このIDを非表示/違反報告)
arisuneko - 名ガイス 真名ユース=ガイスト 魔族の精霊使いはどうでしょうか!なんとなく作ったキャラです (2019年6月9日 11時) (レス) id: 322193fd57 (このIDを非表示/違反報告)
ファイアー@宝石の国沼(プロフ) - 作者から:登場させてほしい魔族や天使、盗賊などの勇者の仲間は随時受け付けます。みんなの溢れるアイデア募集中!!(創造力の乏しさを補おうとする女) (2019年6月5日 18時) (レス) id: 58297e2569 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ファイアー@橙蛙不二周助の人 | 作成日時:2018年8月22日 20時