7日目____(5) ページ23
「では続きをお話いたしますね」
モーデンさまはまたキリリと表情を引き締めて、先ほどとは別の本をぺらりとめくりだす....。
こんなことを言っては失礼なのですけれど、喋らなければ本当に、その......
麗しい方だと思います。
「御免。かかるやつにも悪しきならぬなり」
つまり、悪い人ではないんだよ、とアスティ様が私の肩をポンと叩く。
魔王様は困ったように苦笑いしながら、続きを急かす。
また新しい風景が天井に写し出されると、部屋の雰囲気がガラッと変わる______
これが悪魔様のお力なのでしょうか.....。
「えー、ごほん。本題ですが.....
今、この魔界に勇者が攻めてきています。____あなたを取り戻すために。」
少し困ったような思案顔のあと、私の目を一瞬だけ見つめて、また大きな天井の絵は移り変わる。
そこに映し出された少年の姿は、私が昨日の幻の中で見た少年によく似ていた。
「あっ、この子は....」
「見覚えがありますか....ならば、」
あなたに真実を話さなくてはいけません、と。
その彼、または彼女は静かに語る。人間が今まで行ってきたことを。
彼ら悪魔たちの過去を____。
「我々悪魔の中には、もともと天使だった者や、神として人々に愛されていた者も多くいます。
ではなぜ、我々は今、これほどまでに忌み嫌われているのでしょう?
なぜあなたはここにさらわれたのでしょう?なぜあの少年を懐かしく感じるのでしょう?」
魔王さまがその瞬間、その話はいけない、と止めようとしたにも関わらず、話は終わらなかった。
アスティさまにぎゅ、と抱き寄せられる。まるで、いけないものから身を護るように。
「覚えていますか?なぜあなたのお兄様は亡くなったのか.....」
「いいがけんにしろ、アスモデウス」
魔王さまの、低い声が響き渡る、と同時に。
モーデンさまが悲鳴をあげて床にへたりこむ。
まるで、それは身体中に雷が走ったように______。
「もっ.....申し訳ありませ......ッ」
「魔王様ッ....!危険です.....!」
紅に光るその瞳が、キッと私たちを睨み付ける。
「.....ハッ、いや.....すまない.....その.....
まだ今はこの時ではない.....今は、まだ.....」
取り乱す魔王様のその瞳を、見つめて.....
わたくしは、どうしたらいいのでしょう......
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ファイアー@宝石の国沼(プロフ) - arisunekoさん» 分かりました!更新は遅くなるかもしれませんが必ず登場させたいと思います!ありがとうございます! (2019年6月9日 21時) (レス) id: 58297e2569 (このIDを非表示/違反報告)
arisuneko - ん〜、いつも冷静に物事を見ている的な! (2019年6月9日 20時) (レス) id: 322193fd57 (このIDを非表示/違反報告)
ファイアー@宝石の国沼(プロフ) - arisunekoさん» おお〜〜素敵なキャラをありがとうございます!!実在の魔族しか募集しないつもりでしたが.....素敵です!!性格などの指定はありますか? (2019年6月9日 16時) (レス) id: 58297e2569 (このIDを非表示/違反報告)
arisuneko - 名ガイス 真名ユース=ガイスト 魔族の精霊使いはどうでしょうか!なんとなく作ったキャラです (2019年6月9日 11時) (レス) id: 322193fd57 (このIDを非表示/違反報告)
ファイアー@宝石の国沼(プロフ) - 作者から:登場させてほしい魔族や天使、盗賊などの勇者の仲間は随時受け付けます。みんなの溢れるアイデア募集中!!(創造力の乏しさを補おうとする女) (2019年6月5日 18時) (レス) id: 58297e2569 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ファイアー@橙蛙不二周助の人 | 作成日時:2018年8月22日 20時