姫をさらった魔王が残念【オリジナル】

7日目＿＿＿＿(2) ページ18

「姫、起きなさい。大図書館に着きしぞ」

「ん.....まあ、広い....！」

「うむうむ。100年は時間がつぶせる」

「アスティ、きみの図書館じゃないだろう？」

そうでした、と笑って目覚めたばかりの私を抱き抱え、立たせてくださいました。
それから私の髪を優しくといたり....体は男性でも、それはまるでお姉さんのようでした。

「うふふ、くるくるしたかわいい髪.....」

「アスティさまも素敵なさらさらの黒髪をなさっていますわ」

「ありがとう...」

図書館で擬似女子会をする私たちのとなりで、魔王さまは誰かを探していました。
例のお知り合いの方でしょうか...何だかいろいろな悪魔さまがいて不思議です。
おそらく、まだまだいらっしゃるのでしょうね....

「おーい、モーデン？
どこにいるんだーい？また本に埋もれてるのかい？おーい！」

「もう朝から何ですか？....って、ああっ！魔王さまぁっ！」

図書館の大階段からゆっくりと降りてきたその方(性別不明)は、魔王さまの姿を見るなり一気にかけ降りた。
長いローブを着ていたもので、転ばないかとても心配でした....。

「ああ....わざわざこのようなところにお出向きいただき至極恐悦にございます...！」

「そうかしこまらなくてもいいって....ね？」

「いいえっ....！ わたくしの身も体もあなたのためにありますっ.....！ さぁ！私の胸に飛び込んで...！」

「ちょっ....お客様が来てるからっ....」

魔王さまのその一言に、ええっ、とこちらを発見する悪魔さま。
乱れた服装を直して、こほん、と穏やかに話し始めました。

「おお、公爵さま、これはこれは.....。
ああ、そこにおられるのは人の子ではありませんか....
それもあなたは人間界の....A国のお姫様ではございませんか！これはこれは...」

「アスモデウス殿、もう手遅れだと思われるかと」

『アスモデウス』＿＿＿＿本で読んだことのある、知識を司る悪魔＿＿＿＿。

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