罪の告白。 ページ39
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｢……いわ｣
｢聞いとけや、ボケ｣
岩泉、そう呼ぼうとした。呼ばないと、いけない気がした。……いや、自然と聞くことを避けていたのかもしれない。
遮られた名前を、口を噤み、飲み込む。
｢……諦めなきゃなんねえ、って、思ったんだ。よく分かんねえけど、このままじゃダメなんだって、思った。
だから、お前らがデートに行った日。
あの日は、なんかで狂いそうだった心を、必死に抑えて。
大丈夫、大丈夫だ、って、只管声に出してた。
そしたら、花巻が早く帰ってくるもんだから。
嫌な予感がして。
……大当たりだったよ。本当、諦めよう、なんざ神様は許しちゃくれなかったんだ｣
ねえ、岩泉。
今、岩泉はどんな顔をしているの。
どんな顔で、一体、何を思って話しているの。
知りたい、のに。
熱い両手が、それを許してはくれない。
｢……もう、名前はついてんだよ。分かってんだ、これが何なんだってことくらい。
だから、昼休み、ボロを出した｣
ボロ。岩泉にとってあれは、ボロというのか。隠さなければならないことだった？岩泉の中では、ずっと、隠しておこうとしていたものだった？
｢言ったら、絶対無くなるって、分かってた。お前との関係も、何もかも、崩れるってわかってたから、言えなかったのに。
……ちゃんと話そうとか、何なんだよ。もう良いだろ……？俺は、もう｣
｢何も、言ってない｣
｢だから、喋んなって……｣
｢何も！！私は、何もあんたに言ってない！！｣
目を覆われていた手を、必死に握る。解けない。当たり前だ。バレー部のエースと、そこまで強くない剣道部の女子なんて。
でも、でも。
｢何も言ってないのに、あんたの中で、なんで勝手に答えだしてんの……！！
ちゃんと、考え、させてよ……！｣
嫌だよ、岩泉。
なんだろう、なんだか、何かが嫌なんだ。
何が嫌だとか、どうして嫌だとか、何も答えられないけど。
でも。
｢嫌だ……！何かは分かんないけど、でも。
私は、岩泉とこんな風になりたいだなんて思ってないんだよ……！！｣
こんな、ギスギスした関係。
別に、岩泉の言葉に答えられる訳でも、その感情が私の中にある訳でもない。ある訳でもない、はずで。
でも。
何か、無性に、腹が立つ。
ここで終わらせようとする岩泉に、腹が立つ。何故？分からない。多分、本能。
でも。
何か、何かが、必死に私を動かす。
岩泉と、こんな形で終わりたくはないと、
心の底で、叫んでいる。
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あいうえお - すみません他の作品のパスワード教えてほしいですー！ (2023年2月18日 22時) (
レス) id: 8655edc292 (このIDを非表示/違反報告)
如月(プロフ) - たまたま見つけたこの小説でしたが、読んでよかったなあと思いました。私も夢主ちゃんと同じ感じで何もないのに死にたいとかめっちゃ思います。だからこそ共感できるし、なんか同じ気持ちの子がいるんだなって嬉しくなりました。好きです！ (2021年6月19日 6時) (レス) id: 85ad8c6978 (このIDを非表示/違反報告)
お水。(プロフ) - まーちさん» いえ！こちらこそ読んでいただき本当にありがとうございます！感動したと言っていただけて本当に嬉しいです。コメントまで残して頂き、励みになります！本当にありがとうございました！ (2020年12月29日 18時) (レス) id: 5c541d7487 (このIDを非表示/違反報告)
お水。(プロフ) - まふにゃさん» 歌詞だったんですね！気付きませんでした！今度検索してみますね！コメントありがとうございます！ (2020年12月29日 18時) (レス) id: 5c541d7487 (このIDを非表示/違反報告)
まーち - こちらの作品とても感動しました。少し、少しだけ感情が薄い私がなきそうになりました。こんな素敵な作品を作っていただきありがとうございます。 (2020年12月10日 21時) (レス) id: 65334a4eed (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：お水。
| 作成日時：2019年1月12日 17時
