らくがん【宮治】

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治side



ふと頭上から聞こえた声



「え？」



みんなで上を向くと

体育館の二階の通路にいるAちゃん




「噂をすれば」


つぶやいた角名の声は聞かんかったことにして





「なんしてん？」



さっきまでの不機嫌も忘れて声をかけると、



『ちょっと先生に頼まれごとしててね。

用が済んだら校舎の方に戻るけど、会えないかなって少し期待してたんだ』



お茶目に笑ってみせる





肘で小突いてくる角名のことは

後で殴ったってバチは当たらへんやろ




「俺らに会いたかったん？」



さっきのは聞き捨てならん


期待してたって…






こっちの方が、期待してまうやろ






『もちろんだよ。知った顔見るだけでも安心できるし』





「呼んでくれたらいつでも顔見せに行ったるで」




『そんなに暇じゃないでしょ』



困ったように笑う顔




この顔を見たのは、少し久しぶりかもしれん







『じゃあ、私もう行くね。

みんな練習頑張って』





ニコッと笑って去るAちゃんに、角名や銀も少し固くなってお辞儀する









…そんなんも、なんか嫌や

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