寝息の主は ページ9
それはほんの小さな違和感だった。黒服の一人の足が、瞳が、捕らえるモノを変えた。それを頭が理解するより先に身体が動いている事に気付いたのは、身体から熱いものが流れてからだった。狙われた当の本人は気付く筈もない。何故なら、Aを撃ったのは、首領から借りた部下の一人だったからだ。
視界が白くボヤける。目の前に映るのは見慣れた天井。其処で自分の部屋だと理解する。一体この天井を自分は何度眺めてきたのだろうか。ぼーっとする頭に最初に流れてきたのは、腹部らへんから聴こえる寝息。
『…ちゅーや?』
久し振りに発したせいか、掠れた舌ったらずな自分の声に眠っていたのは一日どころではないなと直感する。目線の先には、椅子に座ったままベッドに上半身を預けたまま眠っている中原の姿。その目元は酷く隈が出来ていた。
『自分とお揃いになってんじゃねーよ』
莫ァ迦。顔を綻ばせながら垣間見える額へと軽くデコピンをすると「んぁ…?」と涎を垂らす口が開く。
中「?……なんだ…?」
『おはよう中也』
中「おー…はよ………ッッ!!!?」
寝惚け眼から一転目をパチクリさせながら此方を見る中原。そのコロコロ変わる表情に思わず吹き出してしまった。
中「にぃ、さん…!兄さん…!!」
『はいはい兄さんだぞー』
中「よ、良かった〜〜…………」
はぁ〜〜〜〜と長い溜息をつきながら蹲る中也の背中をよしよしと撫でると、身体が震えているのが分かった。
『………中也くん泣いてる?』
中「ッば、泣いてなんかねェよ!!!!」
バッと顔を上げた中也の瞳には矢ッ張りというか予想通りというか涙が溜まっており、それがバレたのが恥ずかしいのか顔を真っ赤にしていた。それにニヤニヤしていると、スッと椅子から立ち上がる中原。少し揶揄い過ぎたか…?と思っていると、これぞまさに理想の90度と言わんばかりに頭を下げる。
中「申し訳ございませんでした!!!!」
部屋に谺する中原の一言。Aが目覚める迄ずっと己を罰していたのだろう。それが如実にわかる声を聞けば、もう何も言うまい。
『ご苦労様。次も宜しくな』
これまた音が聞こえそうな程頭を上げた中原の表情に、また顔が綻ぶのが分かった。
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でっぷるキメてきました。気付いたら一日で二回観てました。Aを入れた妄想が止まらなかったです。特典最高過ぎかよ、、、
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なに - 読みやすくて3作品夢中に読んじゃいました!すごく続きが読みたいです!一年前の作品ですがよければかいていただきたい!!! (1月1日 23時) (レス) @page34 id: 609d62ddb9 (このIDを非表示/違反報告)
三斗(トリップ願望者) - ぇ…終わっちゃったんですか・・・?続きかければ書いてください!絶対読みます‼ (2022年7月11日 22時) (レス) @page35 id: 9ad11557a3 (このIDを非表示/違反報告)
Rio - 無理はなさらずがんばってください!! (2022年3月7日 22時) (レス) @page35 id: 663ca84b4d (このIDを非表示/違反報告)
甘党 - 頑張って下さい!!更新待ってます (2022年1月22日 13時) (レス) @page35 id: 577366e2a2 (このIDを非表示/違反報告)
あの - 更新頑張って下さい!応援してます! (2022年1月7日 19時) (レス) @page35 id: 347eae7089 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まっぽ | 作成日時:2018年1月8日 23時