赤い招待状 ページ30
Aのもとに赤褐色の封筒が届いたのは数日前。中身の内容をざっくりいうと招待状だ。ふむ、と少し思案したAはそれほど躊躇うことも無く歩いていく。目的地の高層ビルは、ヨコハマを一望出来るほどのデカさだった。それはまるで空に触れられそうな程に。
『手、届きそうだなぁ…』
ぼんやりと眺めながら空を掻く。が、何かが触れるわけはない。ぽてぽてと歩いていくと「おい」と前から声をかけられた。サングラスに黒のスーツを全身に纏った黒服の男が2人。入り口に立っている。
「貴様、ここが何処か分かってるのか」
ギロリ、とサングラスの隙間から眼光を覗かせる。普通の一般人なら恐怖に戦き速攻に退散するだろう。しかしそれは普通ならばの話だ。Aに至っては『(サングラス、視界悪くなるから嫌いなんだよなぁ)』なんてズレた事を考えていた。
「用がないならさっさと去れ」
『はい、これ』
赤い封筒の中身を黒服の二人組に突きつける。すると、サングラスなんて御構い無しに揃ってみるみる顔色が変わり、変な汗を流すのが目に見える。刹那、土下座するんじゃないかと言わんばかりに謝罪の言葉を並べた後「ご案内致します!!」と言われ、高層ビルの中に入れるまでの時間、僅か5分弱。丁重にお連れしなければオーラが凄い黒服の後ろについていく。
『(あんま変わってねーな…)』
時刻の問題なのか、人はまばらだ。物珍しいのかチラチラこちらを見る視線が少し痛い。エレベーターに乗り込む。描かれた数字の色が、どんどん上を指していく。10、28、42階……
無機質な音とともにエレベーターが止まり、扉が開かれる。そこは長い長い廊下。未だに汗まみれの黒服達についていくと、奥にはそれはそれは大きな扉と、そこを守るようにこれまたガタイのいい黒服。その2人はAの顔を見た瞬間、低い声で「お待ちしておりました」と一言。黒服が部屋の中の主人に声をかけると、「入りたまえ」と返ってきた。ギギィ、と重い扉が開かれる。部屋の中は広過ぎるといってもいいほどの大窓と、書斎室を彷彿とさせる室内。その真ん中にある机に、差出人は静かに手を組みながら座っていた。
森「……久しぶりだね、Aくん」
『久しぶりです、森先生』
2匹の獣が、対峙する。
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でっぷる円盤届きました豪華すぎィ
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なに - 読みやすくて3作品夢中に読んじゃいました!すごく続きが読みたいです!一年前の作品ですがよければかいていただきたい!!! (1月1日 23時) (レス) @page34 id: 609d62ddb9 (このIDを非表示/違反報告)
三斗(トリップ願望者) - ぇ…終わっちゃったんですか・・・?続きかければ書いてください!絶対読みます‼ (2022年7月11日 22時) (レス) @page35 id: 9ad11557a3 (このIDを非表示/違反報告)
Rio - 無理はなさらずがんばってください!! (2022年3月7日 22時) (レス) @page35 id: 663ca84b4d (このIDを非表示/違反報告)
甘党 - 頑張って下さい!!更新待ってます (2022年1月22日 13時) (レス) @page35 id: 577366e2a2 (このIDを非表示/違反報告)
あの - 更新頑張って下さい!応援してます! (2022年1月7日 19時) (レス) @page35 id: 347eae7089 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まっぽ | 作成日時:2018年1月8日 23時