相棒 ページ20
プルルルル。街中にコールサインが鳴り響く。静かに音の震源である携帯を取り出し、気怠げに耳に押し当てる者が1人。相手はどうやら歳上らしい。淡々と敬語で答えつつも、何処か嬉しそうな表情を浮かべる。
「しかし真逆、君の言う最高の人材が元マフィア幹部だったとはな…」
『彼奴は上玉ですよ。何せ自分が育てましたから』
「全く、恐ろしい子だな君は…それで、彼の事なんだが、2年は地下に潜って貰うことになった」
『ま、それぐらいでしょうね』
「…一応言っておくが、君の場合だと『10年もいかず即刻死罪もんでしょうね。ヨコハマだと狩人は猟犬辺りが妥当かな』…」
『あーお気になさらず種田さん。別に気にしてませんから。全て自分の意志でやってますんで』
コホン、と空気を変えるように咳払いをする種田。ところで…と話題を切り替える。
種「この街から居なくなった事は風の噂で聞いたが、一体何処にいるんだ?……冲方くん」
『ん〜そうですね…美人が多い国、って言えばわかります?』
電話越しに困惑しているだろう種田の姿を想像し、少し笑みが零れる。だんだんと街の喧騒が聞こえなくなり、まるで昔から通っていたかのようにリズミカルに階段を降りていく。階段を降り、細い路地に入る所で、背中に何かが触れた。
『……種田さん、すみません。少しバスに乗り遅れそうなので切りますね』
種「分かった。君もあまり目立つ行動は慎むように」
プツリと通話が切れ、左耳から聞こえるのはツーツーという音。それと同じように背中越しに呼吸音。何者かが息を吸う音が聞こえた。
「привет там Вы уже забыли русский?(こんにちは ロシア語はもうお忘れですか?)」
『…Извините, это прекрасно(残念だが完璧だ)』
ロシア語でそう答える。背中越しでもわかる相手の存在。恐らく背中に当てているのは拳銃だろう。しかしAは、御構い無しに後ろを振り返った。そこにいたのはウシャンカを被った痩せ型の成人男性。Aは嫌という程この男を知っていた。
『…久し振りだな、魔人フョードル・D』
D「そっくり返しますよ、死神冲方A」
舞台は日本より更に北に位置する極寒の地ロシア
これは、過去と未来を紡ぐ0の物語。
第三.五幕 相棒
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なに - 読みやすくて3作品夢中に読んじゃいました!すごく続きが読みたいです!一年前の作品ですがよければかいていただきたい!!! (1月1日 23時) (レス) @page34 id: 609d62ddb9 (このIDを非表示/違反報告)
三斗(トリップ願望者) - ぇ…終わっちゃったんですか・・・?続きかければ書いてください!絶対読みます‼ (2022年7月11日 22時) (レス) @page35 id: 9ad11557a3 (このIDを非表示/違反報告)
Rio - 無理はなさらずがんばってください!! (2022年3月7日 22時) (レス) @page35 id: 663ca84b4d (このIDを非表示/違反報告)
甘党 - 頑張って下さい!!更新待ってます (2022年1月22日 13時) (レス) @page35 id: 577366e2a2 (このIDを非表示/違反報告)
あの - 更新頑張って下さい!応援してます! (2022年1月7日 19時) (レス) @page35 id: 347eae7089 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まっぽ | 作成日時:2018年1月8日 23時