最期の手向けは ジイドside ページ14
仕留めたはずだった。
相手の異能力は、世界が左右される程強力なものだ。しかしどんなに絶大な力にもそれに比例するように弱点はある。その情報を手に入れた時から、此方に勝ち目があるのは目に見えていた。脳天を狙った筈だった。だが目の前には、まるでそれが分かっていたかのように頭を横に晒した死神が一人。
『あんたが何処で自分の情報を手に入れたのか大体予想はつくが、それは此方も一緒』
ジ「真逆…」
もう一度異能力を使うが、いくら先の未来を見ても相手に弾が当たる事はない。
『異能力…【狭き門】』
ジ「成る程…矢張り貴君は恐ろしい異能力者だ」
10分、20分、お互いの異能力での読み合いが終結する事はなくただ時間のみが過ぎていく。それが埒が明かないと悟ったのか、徐に銃を持った腕を下ろす。
ジ「…最期に質問をしてもいいだろうか?」
『どうぞ』
ジ「貴君は、何の為に此処へ来た?」
その質問を言った時、一瞬間を置いた後、死神と恐れられている者とは思えない程穏やかな表情で至極当たり前だと言うように…たった一言、零した。
『友の為』
それを合図に向かってくる死神。それに対抗するように銃で狙う。まるで銃など怖くないのか、擦り傷を作りながらも此方に向かってくる。目と鼻の先まで来た死神を避けるように後ろへ飛び退く。刹那、胸に痛み。隠し持っていた刃で横一線に薙ぎ払ったのが当たったようだ。
ジ「(これが…死神……!)」
お互い、もう既に異能力など必要無かった。発砲音がまるでクラシック音楽を思わせるような可憐な戦い振りに目が奪われる。チラつく赤い鮮血が、目の端に入る。最初はお互いから流れ出るモノだと認識していたが、段々と動きがブレていく死神の体からだと理解したのは、己の弾丸が死神の右肩を撃ち抜いた時だった。
『ッぐ、かは…!?』
目の前で血を吐く死神。普通、右肩が貫通したところで血を吐く事はない。と言う事は、此処に来る前から既に満身創痍だったのだ。部下からポートマフィアの幹部らしき人物を仕留めたと言うのは聞いていた。
ジ「真逆、そんな体で乃公の所へ来ていたとはな」
『ッは、ッは…!』
ジ「素晴らしい戦いぶり。貴君には感服するばかりだ」
なおも向かってくる死神の足を貫く。バランスを崩し膝をついた所へ頭に銃を突きつける。
ジ「感謝する。先に地獄で待っていてくれ」
ゆっくりと引き金に手をかける。最期の手向けに、安らかな死を。
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なに - 読みやすくて3作品夢中に読んじゃいました!すごく続きが読みたいです!一年前の作品ですがよければかいていただきたい!!! (1月1日 23時) (レス) @page34 id: 609d62ddb9 (このIDを非表示/違反報告)
三斗(トリップ願望者) - ぇ…終わっちゃったんですか・・・?続きかければ書いてください!絶対読みます‼ (2022年7月11日 22時) (レス) @page35 id: 9ad11557a3 (このIDを非表示/違反報告)
Rio - 無理はなさらずがんばってください!! (2022年3月7日 22時) (レス) @page35 id: 663ca84b4d (このIDを非表示/違反報告)
甘党 - 頑張って下さい!!更新待ってます (2022年1月22日 13時) (レス) @page35 id: 577366e2a2 (このIDを非表示/違反報告)
あの - 更新頑張って下さい!応援してます! (2022年1月7日 19時) (レス) @page35 id: 347eae7089 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まっぽ | 作成日時:2018年1月8日 23時