もう1人のマイキー【東卍】

2話 ケンチンとお子様セット ページ4

ファミレス


ド「そう拗ねんなって、A」



そう声をかけたのはドラケンこと龍宮寺堅。Aの背を余裕でこえるタッパに、側からみればドラケンが頭だと思われるに違いない。その前には頬をハムスターのようにふくらませるAと「ねぇケンチン、ご飯まだー？」と足をバタバタさせるマイキー。



『授業は真面目(？)に受けてるし、髪も黒に染め直したのになんで未だに万次郎と間違えられるわけ？』



まるでぷんぷんという効果音が似合いそうな不機嫌顔のA。それに対してマイキーとドラケンはそりゃあ…と口を開く。



「「オレ(マイキー)と顔一緒だし」」



いくら態度を変えようが見た目を変えようがAはマイキーと双子として生まれた運命。後、ぶっちゃけここだけの話さすが双子、性格もよく似ている。しかしこれを言うと本当にAがキレそうなので口を紡ぐドラケン。



ド「ほら、お子様セットもう来るから機嫌直せよ」



まるでその言葉が聞こえていたかのように店員がAとマイキーそれぞれの前にお子様セットを持ってくる。そしてもちろん旗付き。おおお！と目をキラキラさせるマイキーが、チラリとAの方を見る。Aも目の前に好物が用意され、自然と頬が綻ぶ。大好きなオムライスを一口食べれば、先ほどまでの不機嫌はどこへ行ったのか忽ち機嫌よく食べ始めた。



ド「(子どもが2人…)」



するとAの携帯が震える。どうやら相手は妹のエマからのメール。内容を見ようと隣のマイキーが覗き込んできた。



『エマから帰りに牛乳買ってきてだってさ』


マ「なんかアイツいっつもAに頼むよなぁ」


「なんてったってオレはエマのお兄ちゃんだからな』



誇らしげに話すAに「いやオレもお兄ちゃんだし！」と張り合うマイキー。



マ「じゃあオレたちはたい焼き食べにいくぞ、ケンチン！」


ド「お前まだ食うの？」


『食べすぎると晩飯食べれなくなってエマに怒られんぞ』



そんなAに対して、オレの胃はこんだけじゃ膨れねーよと言語するマイキーだったが、数時間後、もう腹いっぱいと言って結局エマを怒らせ見事フラグ回収した片割れに腹が捩れるほど笑うAだった。その日別れた後、何やら面白いやつを見つけたらしい。喧嘩が弱いのに立ち向かうその姿に、もう居なくなった兄貴を重ね合わせたとか。



『兄貴みたいな奴、ねぇ…』



今度会わせてやると言ってきたので、頭の片隅に記憶を残しAは眠りについた

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