32話 ページ38
提督の艦隊では神威捕獲後、高杉と匂狼団長に食事を振舞っていた。
「だっはっはっはっ!!!高杉殿、良くやってくれた!!これでワシに仇なす反乱文集は消えた!匂狼もその働き、見事であったぞぉ!」
「いえ、私はアホ…阿保提督階下、十二師団長としての務めを果たしたまで。反逆者の処遇を見れば、神威に付いていた連中も目が覚め、提督への忠誠を新たにしましょう」
それを聞いていた高杉は
「ちと勿体無い気もしたがな」
「んん?」
「あの餓鬼、象さえ一瞬で混濁させる毒矢をあれ程浴びて、俺の一太刀を受けても尚、最後まで笑ってやがったな。あの手負いで、そっちの手勢二十四名を殺っちまうたァ奴を狩るための損害よりも奴が抜けた損害の方が甚大な気がするねェ」
「構わぬさ、空いた穴はそちら鬼兵隊が埋めてくれるのであろう?」
「ハッ悪いが遠慮させてもうぜ、鶏口となるも牛後となるなかれってな。海賊や幹部よりお山の大将やってた方が俺ァ気楽で良い。それに俺は、この鬼兵隊の名、捨てるわけにはいかなくてね」
「ならば恩賞は?」
「何も要らねぇさ。今まで通り、持ちず持たれずで行こうせ」
提督の艦隊から出て行った高杉、それを見ていた匂狼団長が
「お気をつけ下さい、奴は神威以上に何を企んでいるのか分からぬ虎狼ゆえ」
「分かっておる」
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作者名:まひろ | 作成日時:2017年10月31日 1時