さんじゅうよんわ。 ページ36
Aside
...私は記憶を失ってしまったらしい。
病気とかじゃなく、怪我なので意外と早く退院出来た。
兄ちゃんこと、木兎光太郎さんに
家に帰らせて貰った。
『お邪魔します...』
と言うと、兄ちゃんは大きな声で笑った。
兎｢お前の家なんだからお邪魔しますじゃなくてただいまだろ！｣
『...！そっか、ただいま...！』
なんだか嬉しかった。
私は覚えてないのに、まるで普通の兄妹のように接してくれている。
(いやまぁ兄妹だけどね。)
『あれ...お父さんやお母さんは...？』
(仕事とか、かな。)
ピクっと兄ちゃんの動きが止まった。
兎｢...親は...
父さんは、俺らが小学生の時に死んじゃって、
母さんは...俺らを置いてどっか行った。｣
『え...っ、
...あ...ごめん、なさい、、』
思いもよらぬ言葉に戸惑う。
兎｢ははっ...なんで謝んだよ...｣
と言い、私の頭を優しく撫でた。
その時の兄ちゃんは、さっきの笑顔とは違い、
...とても辛そうな笑顔だった。
兄ちゃんは...唯一の家族の私にも忘れられて、辛く、今にも崩れそうなのだろう。
(私が、支えてあげなくちゃ...！
でも...どうやったら兄ちゃんの事を思い出せるの...？)
私も今の兄ちゃんの姿を見て心から思い出したいと感じた。
けど、思い出せる方法なんて全くわからない。
その時、壁にかかっていた二着のユニフォームらしき服が目についた。
一枚は白地に黒いラインが入っていて、
4にキャプテンマークもある。
恐らく兄ちゃんのだろう。
もう1枚は、赤に黒いラインが入っている。
番号は7番。
音駒の...でも無さそうだし、誰の？
兎｢おーい、腹減ってるだろ？飯食う？｣
『あ、うん。
ねぇ兄ちゃん、このユニフォームって...』
兎｢あぁ、こっちの白いヤツが俺ので、
赤い方がAの中学の時のユニだぞ！｣
『そうなんだ...？』
なんだろ、頭が痛くなってきた。
ガンガンする。
心做しか痛みが酷くなってきているような...
兎｢！？A！どうした！？｣
ｽﾞｷｯ
その瞬間、前が見えなくなり、代わりに違う景色が目の前に広がった。
見えなくなる寸前、兄ちゃんの声が聞こえた気がした。
体育館の前で、
兄ちゃんと私が壁にかかっていたユニフォームを着て写真を撮っている。
写真を撮ってくれている女性は...
紛れもない、私たちのお母さん。
そうだ、これは私の引退試合で、
確かこの後...
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オフトゥン - いつの間にか目の前が霞んでました...とても面白かったです！ (2020年5月7日 19時) (
レス) id: 1ed80ac0bf (このIDを非表示/違反報告)
いちごミルク(プロフ) - hikariさん» ごめんなさい！修正しておきます。報告していただき、ありがとうございました！ (2019年10月28日 17時) (レス) id: 40a00401ba (このIDを非表示/違反報告)
hikari(プロフ) - さんじゅうよんわの木兎さんの(名前)ではなく、名前ってなってます。 (2019年10月28日 9時) (レス) id: 9040efc7f3 (このIDを非表示/違反報告)
いちごミルク(プロフ) - まっつんエロい@紀和さん» はい！学生です〜！！応援ありがとうございます！これからも頑張らせて頂きます！！ (2019年10月23日 17時) (レス) id: 40a00401ba (このIDを非表示/違反報告)
まっつんエロい@紀和(プロフ) - 作者さんは学生さんですか？学生さんでしたら大変ですけど頑張って下さい！ (2019年10月22日 21時) (レス) id: 8195451271 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：いちごミルク | 作成日時：2019年9月9日 19時
