手品6 ページ7
この早い時間に校舎が開いてる訳もなく、仕方ないので部室棟のトイレに行って戻ってくると、問題児二人がちょうど来たところだったようだ。
「あっ、昨日の……!」
「よう。ヒントは役に立ったか?」
「はい! ありがとうございました!」
「それは良かった。面白い答えだったよ。まるで予想外だったけどね」
昨日と変わらず、デカ……もとい影山は鋭い目で俺を見、会話はチビと進んでいく。
警戒されるようなことは何も心当たりがないけれど、俺みたいのは苦手なタイプなのだろうか。
「それで、あの……コレ」
「ん? あぁ、サンキュ。別にこっちは捨ててもよかったのに」
昨日俺が渡したバレーボールと、二枚の紙を手渡される。
メモ帳サイズのその紙達には、「本当にやりたいことは?」、「そのために必要なのは?」 と書いてある。
やりたいことは言わずもがなバレー、必要なものも分かってるみたいだけど、その証明が勝負になるとは流石に思わなかった。
もっと平和な証明方法もあると思うが、二人が導いたのだから何も言うまい。
さぁ、答えたからには見せてくれよ?
「とはいえ、何もできないけどな」
行き詰まったところにやって来るのがこの男。
「やっぱキッツイな〜、5時は」
「田中さん!?」
校舎の方から悠々と歩いてきた坊主頭。
ちょっとカッコつけてんじゃねえよ。何が「7時前には、切り上げろよ?(ドヤァ)」だよ。
先輩呼びまでさせちゃって。
「「田中先輩!!」」
「わはは!」
「田中ァ」
「うぉっ!?」
ヌッと正面に出てやれば、大きく仰け反る田中。
俺だと分かると、したり顔で肩を叩いてくる。
「おぉっす、奇田ぁ! どうだ、ちゃんと来てやったぞ!!」
「遅せぇんだよ、このハゲ」
「ぐはっ! なんで!? 遅刻じゃねぇだろ!」
「俺より遅れたらもう遅刻だバカ野郎。このクソ寒い中待たせやがって」
「理不尽ッ!」
ゲシゲシと何度か蹴りを入れ、凸凹コンビの方を振り向く。
二人とも肩をこわばらせて分かりやすくビビっている。
「お前等も、寒い中待たせて悪いな。明日からは俺が鍵開けてやるから」
「ウソだろ!? 金曜までって約束……」
「うるせぇ。お前毎日早起きすんの辛いだろ。いいから俺に任せとけ」
「つ、ツンデレ男前……!?」
「黙って鍵開けろ」
「ハイ」
やれやれ、これでようやく始められそうだ。
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狐猫音。(プロフ) - 今までに見たことがない作風と内容がとても面白いです!これからも更新頑張ってください。応援しています。 (2019年2月10日 17時) (レス) id: 1402817ddd (このIDを非表示/違反報告)
チーズタルト - 続き楽しみにしてます!頑張ってください!! (2018年12月30日 20時) (レス) id: 6500d8f78f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:音々 | 作成日時:2016年8月14日 20時