手品２５ ページ26
「田中うるさい!」
「喜びすぎ!」
「いちいち脱ぐな!」
「猿かお前は!」
「なんだと奇田!」
「なんで俺だけなんだよ!?」
月島のブロックを破ってスパイクを決め半裸で雄叫びを上げる田中に野次を飛ばすと、俺だけ言い返された。解せぬ。
田中はやはり煽られた効果が出ているのかいつもよりスパイクの威力が強い。あの調子ならもう心配はいらないだろう。
問題は……。
田中のレシーブしたボールを影山が日向へトスする。
「おぉ……」
思わず感嘆の声を漏らしてしまう程高く跳び上がった日向が、勢いよくスパイクを打つ。
しかしそれは月島の高いブロックに阻まれた。
まあ……やっぱりそうだよな。
「この間もビックリしたけど、君よく跳ぶねぇ! それであとほォ〜んの30センチ身長があれば、スーパースターだったかもね」
月島が嫌味のように言うが、事実その通りだろう。
以降も日向は果敢にスパイクを打つが、ことごとくブロックに止められる。
日向は小柄だが、スパイクを打ちたいとせがむくらいだからそれなりにジャンプ力はあるんだろうと
けれど体格からしてパワーはあまりないのだろうとも思っていた。あの華奢な身体ではブロックとの真っ向勝負には勝てないだろう、と。
そして相手は長身の月島。日向の高さなど余裕で届き、彼も細身といえど日向程度の力ではブロックは微動だにしないだろう。
仮に日向が影山からトスを貰えたとしても厳しいだろうなとは思ってたけど、予想通りだな。
これじゃあ日向にトスを上げる意味がほとんどない。
「ほらほら、ブロックにかかりっぱなしだよ? “王様のトス”やればいいじゃん、敵を置き去りにするトス! ついでに味方も置き去りにしちゃうヤツね」
王様のトス……あの試合のことか……?
そういえば今日は影山の覇気がないな。まさか挑発一つで弱気になるタチじゃないだろうし、どうしたんだ?
日向に「殺人サーブ」と呼ばれた影山のジャンプサーブは大地さんに綺麗に拾われ、幼馴染コンビの攻撃が決まる。
強力なサーブだったにもかかわらず完璧にレシーブする大地さんの貫禄たるや尊敬する他ない。大地さん流石。
「ホラ王様! そろそろ本気出した方がいいんじゃない?」
「ムッ!? なんなんだお前! この間からつっかかりやがって!!」
しつこく影山を煽る月島に日向が食って掛かる。
「この間から」ってことは今日以前にも会って何か言われたのか。
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狐猫音。(プロフ) - 今までに見たことがない作風と内容がとても面白いです！これからも更新頑張ってください。応援しています。 (2019年2月10日 17時) (
レス) id: 1402817ddd (このIDを非表示/違反報告)
チーズタルト - 続き楽しみにしてます！頑張ってください！！ (2018年12月30日 20時) (レス) id: 6500d8f78f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：音々 | 作成日時：2016年8月14日 20時
