手品２２ ページ23
金曜日、午前４時４５分。
「あ! おはざーす!」
「はざす」
「おぉ、はよ」
朝からコイツ等の顔見るのももう慣れたな。
凸凹コンビの入部を巡っての３対３は遂に明日に迫った。
日向は昼休みの練習も毎日欠かさなかったようだが、影山は未だに日向のことを認めていないらしい。今日も変わらずレシーブ練習だ。
本当に明日は日向を使わないつもりか? 当初の目的は「協力して戦うことの証明」だろ?
一体どこが “協力してる” っていうんだか。
「ま、関係ないけど」
指先でくるくると回していたボールを高く放り、直上トスの練習へ移る。
今日はアンダー中心でやってみるか。
「おいっ、手加減すんなっ」
「上等だァ!!」
日向の練習の成果が出ているのか、今日は向こうからボールの落ちる音が聞こえない。
ボールを打つ音、シューズが床に擦れる音、レシーブでボールが返る音。そして、次第に激しくなる呼吸の音。
体育館にはそれらだけが響いていた。
え、なんかここで落としたら負けな気がする。
やめ時を見失った俺もボールを落とすまいと意地になって直上トスを続けた。
「おース。今日もやってるなー」
この声……スガさんか。やべっ、乱れる。
挨拶をする余裕もなくて申し訳ないが、今は直上トスに集中させてもらいたい。
１年の二人も練習を中断させる気はないようだ。というか、果たしてスガさんが来たことに気付いているのかどうか。
スガさんも空気を察してか黙って見守ることにしたようだった。
静かな練習の音に包まれた空間を再び切り裂いたのはこの男。
「食パン
「っフ……あ"ぁっ」
既に限界に近かった身体が田中のふざけた歌のせいで力が抜けてしまい、乱れたボールはそのまま床に落ちた。
クソっ、田中のヤロー後で絶対何か奢らせる。
息を切らして疲弊した身体を引きずり、荷物を置いていた隅で壁にもたれる。
時計を確認すると５時４０分ぐらいを指している。つまり三十分以上連続で直上トスをしていたということだ。
「は、しんど……。首いってえし……」
向こう側を見ると凸凹コンビはまだパスを続けているようだ。信じられん。化け物か。
なんか、眠くなってきた……。
どうせ朝練まで時間あるし、ちょっとくらい寝てもいいか。
脳が身体を休ませようとしているのか唐突に襲って来た眠気に抗うことなく、俺は立てた膝に頭を預けて瞼を閉じた。
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狐猫音。(プロフ) - 今までに見たことがない作風と内容がとても面白いです！これからも更新頑張ってください。応援しています。 (2019年2月10日 17時) (
レス) id: 1402817ddd (このIDを非表示/違反報告)
チーズタルト - 続き楽しみにしてます！頑張ってください！！ (2018年12月30日 20時) (レス) id: 6500d8f78f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：音々 | 作成日時：2016年8月14日 20時
