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手品15 ページ16

「ホントにあんな指導で良かったのか? 全然具体的じゃないし、ほとんど俺の感性だし……」

「そんなことないですよ! 先輩のアドバイスで良くなったこともありますし! 俺の方こそ、たくさん教えてもらったのに最後までパス続けられなくて……」

「まぁ、レシーブはそんなすぐ上手くなる訳じゃないからな。俺も未だに苦手さ」



練習はもうすぐ予鈴が鳴ろうかというところで切り上げた。次の授業の先生が厳しい人だというのでスガさんは早々に教室へ戻り、俺と日向は束の間の休息だ。

俺は先程買ったりんごジュースを飲みながら、日向は同じ自販機で買ってやったプカリスウェットを手に、二人で校舎に背をもたれている。


まったく、指導なんかできないって言ったのに毎回振ってくるんだもんなぁ、スガさん。ホントえげつない。

まぁでも、後輩が入ってくるってことはそういうことだよな。

いつまでも甘えてらんないし、ちょっとはそういうのもできるようにしろよってことかね。

いやけどやっぱ実力的には俺が一番下なんだろうし……でも影山もコイツもなんだかんだ可愛いとこあるし後輩は可愛がりたいんだよなあ。

う〜ん、難儀なもんだ。



「あの、クシダさん」

「ん?」

「今朝言ってたことってどういう意味なんですか?」

「今朝って……あー、アレか」



多分練習を始める前に話したことだろう。

『楽しむ為に必要なことがある』

そんなの色んな解釈ができるんだから、好きに考えてくれればいいのに。



「あの、俺、中学の頃は3年になるまでほとんど一人で練習してて、バスケ部の友達とかに手伝ってもらったりもしたけど、それは本当のチームメイトじゃなくて……。けど先輩は、ちゃんとチームメイトがいるのに一人で練習してて、それがなんか勿体ない?気がして……」

「そんな一匹狼みたいな真似してねえよ。部活の時はちゃんとみんなと練習してる。まぁ、朝のあの時間はいつも俺一人で練習してるけど」

「? 普通の朝練の前に、ですか? どうして?」

「俺はバレー始めたのが高校からだから部の中で一番下手くそなんだよ。多分お前等みたいな新入部員よりもな。だから少しでも多くみんなより練習したくてさ」



そう言って笑うと、日向はわぁっと顔を輝かせ「俺も頑張ります!」と意気込んだ。


単純で可愛い奴め。

(しがらみ)もなく好きな事が好きなだけ出来るんだ。突っ走れよ、少年。



「さて、そろそろ戻るか」

「はい! 練習付き合ってくれてあざした!」

「おうよ」

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狐猫音。(プロフ) - 今までに見たことがない作風と内容がとても面白いです!これからも更新頑張ってください。応援しています。 (2019年2月10日 17時) (レス) id: 1402817ddd (このIDを非表示/違反報告)
チーズタルト - 続き楽しみにしてます!頑張ってください!! (2018年12月30日 20時) (レス) id: 6500d8f78f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:音々 | 作成日時:2016年8月14日 20時

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