Necromance47 ページ47
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「ちょちょちょい無理無理無理!優しくして!!優しく抜こうぜ!!待った判った自分でやる!!やるから!!」
先程の厳格な太刀筋からは想像も出来ない程の、藤崎の間抜けた声。中原が藤崎の左腕に刺さった短刀を抜こうとしたらこの様だ。
「全くもう!手加減位してよね!」
真剣な表情で短刀を握り、戦っていた男は何処へやら。それにしても、足首に短刀を仕込ませ、ピアスに猛毒を仕込ませる等…
物騒な男だ。戦闘経験が浅そうだと安易に近付けば、隠された刃に切り刻まれる。
思い切って腕から短刀を抜く。抜いた後は特に痛がる様子も無く、掌を握ったり開いたりを繰り返した。
攻撃を受ける寸前、避けられる時間は充分にあった。それでも避けずに受けた理由は…中原にも、何と無く判る。
「…認めてやるよ。要求にゃ答えるが、状況が見えねえ今の状態じゃ何とも云えねえ」
「そう云ってくれるだけで心強いよ。ところで」
藤崎は扉が吹き飛ばされた車に、笑顔で指を差す。二人して凹んだ車を眺める。中原の首筋に冷や汗が伝う。
「弁償してくんない?マフィアの幹部なら直ぐでしょ、直ぐ」
激情に身を任せて仕舞い、車がボコボコになって居る事に今漸く気付いたのだ。
「チッ…誰が弁償なんてするか!!手前が悪ィんだろ!!」
「あ〜あ〜云っちゃお。昔の中也君のあんなことやこんなこと皆に云っちゃお」
「やめろ糞野郎!!すりゃ善いんだろすりゃ!じゃあな!精々歩いて帰れ!その腕は探偵社の女医にでも治して貰えやタコ!」
これ以上藤崎と共に居れば、ストレスで早死にしそうだ。そう思った中原はその場を切り上げ、踵を返して藤崎に背を向けた。
振り返らず手を振り、真っ直ぐ歩いて行く。
「迷子にならないで帰りなよ?」
「なんねェよ!!」
最後にそんな会話をして、藤崎も歩き出した。何とか、中原と
アイザックの対峙を回避した。アイザックは先に…太宰に会うべきなのだ。
四年前、任務で『死亡』とされたアイザック。それは鴎外も公認して居た事。謂わばグルだ。そうしてマフィアはアイザック捜索に動き出した。今一番畏れるべきは、
____魔人に、アイザックの存在が知れて仕舞う事。
彼に本当の弱みを教えて仕舞えば最期。藤崎は一生、魔人に尽くさなくてはならなくなる。何せ鼠は、失う物が少ないのだ。
「…大人しくしててくれよ、フェージャ君」
だらんとした左腕を押さえ付け、口角を上げて呟いた。
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【要注意人物】
藤崎翔:年齢27歳。身長175cm。体重58kg。彼の詳細を公にすれば、街の均衡が乱れる可能性が大いにある為、詳細は厳重に保管、或いは消去済みである。
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χCielχ(プロフ) - 奏汰さん» ありがとうございます〜〜!!嬉しいです!!!! (2019年7月19日 1時) (レス) id: 7ff5a81624 (このIDを非表示/違反報告)
奏汰(プロフ) - めちゃくちゃ好きです。 (2019年7月17日 2時) (レス) id: d623967004 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - ロトさん» だめですねぇ笑笑←藤崎の方がいい匂いするらしいです( ˇωˇ )(煙草臭除けば) (2019年6月26日 1時) (レス) id: 7ff5a81624 (このIDを非表示/違反報告)
ロト - χCielχさん» わーい!いい匂いだ〜!素晴らしいなぁ〜!!みたいな感じで天に召されてくれませんかね、幽霊さんたち。……ダメですか?(´・ω・`) (2019年6月11日 0時) (レス) id: d74fa5c180 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - ロトさん» いい匂いになるだけですね!? (2019年6月2日 10時) (レス) id: 7ff5a81624 (このIDを非表示/違反報告)
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