傷だらけの君を、描かせて呉れ。【文豪ストレイドッグス】

Necromance２７ ページ27

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「…成程。君は翔のクライエントだったのだね」


太宰の問いから逃れられ無かった、藤崎の中の少女。この少女、藤崎が手袋をした状態でも憑依まで出来る。大分藤崎への思いが強い霊だ。


心が病んで居た少女だった。家に帰れば親の虐待。学校に来ればクラスメイトからの無視、罵倒、嫌がらせ。そんな毎日に現れたのが藤崎だ。


藤崎は臨時で様々な学校を行き来して居た。国木田が勤めて居た学校以外にも、何校かあった。



少女はスクールカウンセラーである藤崎に惹かれた。初恋だった。優しかった。それはカウンセラーとしての『仕事』だと知って居ても。少女に居場所は無かった。死にたかった。


気付けば首を締められて居た。初恋の『藤崎先生』にだ。強く強く締められた。抵抗はしなかった。その時、彼はどんな顔をして居ただろう。覚えて居ない。



「君は翔に殺されたのかい」



「ち、違います！藤崎先生は、私を救ってくれました…」



と、それを藤崎の外見で云うので、少しばかり妙ではある。
…少女を殺して、霊体を縛り付けたのは事実だろう。何処までも狂った男だと思う。客観的に見れば。



「ふぅん…それは善い情報だ。それで、先刻の絵の人物の事だけど、何か云って無かった？翔には内緒にする。絶対に云わない」



「……藤崎先生は…その絵の彼を…探して居ました。あの絵は、先生の記憶の中の彼の絵です。直接描いて無いです」



だとすれば、物凄い記憶力と描写力だ。その人物の目付き、肌の色、柔らかい髪の再現度も。



「その彼の名前は」



太宰も、絵に描かれた人物を痛い程知っている。けれども、一応名前を問うのだ。はっきりとさせる為に。余りにも知りたい情報。少し食い付き過ぎた。


中身の少女はおろおろと困った様子を見せる。



「お願い」



太宰が後押し。


然し……、弱々しく閉ざされた口が、突如口角を上げた。不気味な程に。悪魔でも宿った様に。



嗚呼、戻って仕舞った。そう確信した。




「………虐めないであげてくれ、彼女は人見知りなんだ」



均衡を保つ者。周りを騙す道化師が目を醒まして云う。頭がガンガンとするのか、頭を押さえながら。



「…それで。話でも聞いた？あの子は人の視線に弱いからね。
直ぐに話しちゃう。そう云う所も可愛いけど」



「藤崎先生はド変態ですって云ってたよ」



「嘘だあ、あの子そんなこと云わないよ。…………まじ？」



太宰が頷けば、藤崎はショックを受けた顔をして居た。


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【要注意人物】

藤崎翔：年齢27歳。身長175cm。体重58kg。彼の詳細を公にすれば、街の均衡が乱れる可能性が大いにある為、詳細は厳重に保管、或いは消去済みである。

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