Necromance25 ページ25
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「あーあ、失敗だ。気を取り直してもう一枚」
「え?それ本気?」
「本気も何も無いよ。今日の内に太宰君を描き上げないと」
嘘でしょ…と肩を落とす。するとタイミング善く、締め切った部屋の扉の向こうから、カリカリと扉を引っ掻く音が聞こえる。寂しさを訴える様な猫の鳴き声。
「あああ!!オサムううう!!」
珍しく藤崎が絵描きを放棄した。素早く扉に向かって開ける。開けると、青い瞳で藤崎を見上げる…真っ白なラグドール。オサムが居た。
藤崎はオサムを抱き抱えて頬を擦り寄せた。
「ごめん、ごめんねオサムくん!寂しかったねよーしよしよし、もう一人にしないからなぁオサムくん!」
デレッデレした声で自分と同じ名前を呼ばれ、鳥肌が止まない
太宰。先ず、何故オサムと名付けた?何故?
「し、翔…その猫ちゃんの名前、」
ハッ…と正気を取り戻した藤崎。壊れた
「オサムくんは四十四歳だよ!太宰君より歳上なんだからいいでしょ!!」
とは云え、先に産まれて居るのは太宰の方だ。
話せば長くなる。だがきちんと話さなければ、藤崎が更にド変態だと疑われる。
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「何だ、そう云う事?いや、そう云う事でも一寸アレだけど」
猫のオサムによって、絵描きは中断。また日を改める。今は酒を飲みつつ他愛無い会話をして居る。
藤崎が太宰に云ったのは、オサムを飼い始めた七年前。太宰を画材にした時と同期。「太宰治って子が生意気でさぁ!」やら「太宰治君が酷いんだよ!」など、太宰の事をフルネームでオサムに話して居たら、『治』か『太宰』にしか反応しなくなったからだ。
『ダザイ』だとモロだから『オサム』。そう云う事だ。
「だぁから!俺は別に変態なんかじゃないんだよ!分かってよ!お願いだからぁ!」
そして藤崎は酔って居る。
飲む速度が早いのもあるが…見掛けに寄らず、割と早めに酔う。元はと云えば、酒も織田を真似て飲み始めた物だ。ダン!と酒の杯を机に置き、太宰を睨み付けて笑う。
「うはははは最高の画材だぁ!えへへへへ」
「うわぁ。あ、そうだ。女性を画材にしようとは思わなかったのかい?」
「別にああしてこうして無理矢理連れ込んでもいいけどさぁ、それ犯罪じゃん?お巡りさんじゃん?俺えくりゔぃらーだから捕まる訳には行かないんですう!」
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【要注意人物】
藤崎翔:年齢27歳。身長175cm。体重58kg。彼の詳細を公にすれば、街の均衡が乱れる可能性が大いにある為、詳細は厳重に保管、或いは消去済みである。
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χCielχ(プロフ) - 奏汰さん» ありがとうございます〜〜!!嬉しいです!!!! (2019年7月19日 1時) (レス) id: 7ff5a81624 (このIDを非表示/違反報告)
奏汰(プロフ) - めちゃくちゃ好きです。 (2019年7月17日 2時) (レス) id: d623967004 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - ロトさん» だめですねぇ笑笑←藤崎の方がいい匂いするらしいです( ˇωˇ )(煙草臭除けば) (2019年6月26日 1時) (レス) id: 7ff5a81624 (このIDを非表示/違反報告)
ロト - χCielχさん» わーい!いい匂いだ〜!素晴らしいなぁ〜!!みたいな感じで天に召されてくれませんかね、幽霊さんたち。……ダメですか?(´・ω・`) (2019年6月11日 0時) (レス) id: d74fa5c180 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - ロトさん» いい匂いになるだけですね!? (2019年6月2日 10時) (レス) id: 7ff5a81624 (このIDを非表示/違反報告)
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