【あんスタ】貴方の愛を求めます【朔間零】 (ページ5)

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生徒会室を出たAは、音楽科の教室に戻ろうとしていた。

階段を降りていくだけでも視界に入るゴミの山。

廊下に散々している脱ぎ捨てられた靴や飲みかけのペットボトル。

アイドルを育成する歴史あるこの学院だが、現在、芸能界での評判は地に落ちていく一方。

その理由は、この散らばったゴミを見れば一目瞭然だろう。

「んでさー、あいつマジでキメェの。授業なんかに必死になってさ」

「ってーな、どこ見て歩いてんだ？」

「す、すみません……」

明らかに周りを見ずに道幅をとって歩いている方が悪いのに、肩がぶつかっただけで転倒してしまうほどの華奢な男子生徒を睨み付け、唾を吐き付けるように舌打ちをしながら去って行く。

そんな様子を見て、快く思う方がどうかしている。

ゆえに、Aは放っておけなくて床に尻餅をついている男子生徒に手を差し伸べた。

『大丈夫？つむぎくん』

「Aさん！」

青いふわふわの髪に、優しそうな顔つきのこの男子生徒はアイドル科の青葉つむぎ。

Aと同じ図書委員なので、そこで親しくなった。

「お手を煩わせてすみません」

『これくらいで煩わしくなんて思わないよ。

何なら、さっきの連中に一喝入れてきてあげようか？』

「あ、危ないのでそういうことはしないでください！」

青葉が焦って止めようとするので、冗談のつもりだったAは思わず笑いがこみ上げて吹き出した。