【あんスタ】貴方の愛を求めます【朔間零】 (ページ24)

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『零っ、ちゃん……』

「零ちゃんですよ～

ったく、久々に会えたってのになんで泣いてんだよお前は」

零はいつも通りに笑みを浮かべ、Aにポケットティッシュを渡した。

『……ティッシュやだ、荒れちゃう』

「仕方ねぇだろ、帰国したばっかでハンカチ持ってくんの忘れたんだよ」

『ふふ……』

Aは泣きながらもティッシュを受け取り目元を抑えながら涙を拭った。

「……Aさ、あの天祥院とか言う根暗野郎とは、もう別れたのか？」

『口が悪いよ。……ううん、でも、もう潮時かな。

英智くんは今じゃ人気アイドルだし、恋人がいたなんてバレたら悪評がついちゃうもんね』

「最後までそいつの為なのか？」

『まさか。

……さっき英智くんにね、私が今まで培ってきた経験を活かして明日の舞台に役立てて欲しいって言われたの。

でもその経験は、私と零ちゃんとの思い出だから。

そんな大事な思い出を、彼のために使うのは嫌だなって……断っちゃった。

公私混同だよね。プロデューサー失格だよ』

笑いながら自嘲するAに、零は力強く引き寄せ、優しく片腕で抱き留めた。

「んなことねぇよ。嫌なことから逃げるのは人間の正しい防衛本能だ。

辛かったよな。意地張ってねぇで、何がなんでもお前の傍にいてやればよかった。

俺こそ、幼なじみ失格だよ」

『ごめん…ごめんね零ちゃんっ……私が英智くんを止められたらっ……』

「何もしてねぇお前が責任感じることはねぇよ。

……ちょっと、ここで待ってろな」

零はそう言うと、立ち上がってすぐ近くの掲示板の方へ歩いて行った。