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現実を受け止めきれない零。
しかし、他の誰かのものになろうと、Aだけは傷つけることはできない零は、笑って祝福するしかなかった。
「そ……っか。おまえは面倒見もいいし、昔から男にも女にもモテてたもんな。
そんなお前を彼女にできて、彼氏くんも幸せもんだろうな」
『ありがとう。零ちゃんならそう言ってくれると思ってたよ』
幸せそうに笑うAの顔を見ていられなくなり、身体ごと後ろを向いた。
「……もし、嫌なことがあったら、いつでも言えよ。
てめぇの彼女すら幸せにできねぇなら、付き合う資格はねぇからな」
『もう、誰目線よ。
付き合うなんて初めてで不安だけど、私なりに彼を愛してみるつもり。
私の中の優先順位が少し変わっちゃうけど、零ちゃんとは今まで通り仲良くさせてね』
「……おう、俺もそのつもりだよ。
邪魔して悪かったな。んじゃ、俺は明日からまた上海だからよ。
お互い、頑張ろうぜ」
そう言うと零はAを顔を合せることなく去って行った。
「話は終わった？」
『英智くん、待っててよかったのに』
「さすがに心配でね。いくら幼なじみとは言っても、相手はあの朔間零だからね。
君に何かあったらと考えると、僕は気が気ではないよ」
そう言ってAの頬を包み込み微笑む天祥院。
Aは頬を桃色に染め優しく微笑んだ。
「……それじゃあ戻ろうか」
『うん。英智くん、体調は大丈夫？』
「君は心配症だね。大丈夫だよ、英智くんゲージも最近はずっと安定しているんだ」
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作者名：もぶピ
| 作成日時：2022年9月1日 21時
