深く不覚、愛して【東京喰種】

don't love15 ページ16

カネキ「………Aさん、手当てできましたよ」





貴「………あ、ありがとう…」





ジューゾーくんの腕から逃れて、カネキくんの部屋。




手当てもしてもらって、怒っている様子ではなさそうでよかった…。






こっそり部屋を抜け出したことを怒られると思っていたから安心した。






貴「あ、あの……トレーニングって、そんなに時間がかかるの？」







助けてもらって機嫌が良い。






少し怯えながらも、明るく話しかけた。






カネキ「そうですね……今日は大変だったんです」








ガサガサと袋を漁りながら質問に答えてくれた。






もしかしたら、もっと仲良くなれるかも……






今までのは、無かったことにしようか








微笑みながら、此方を振り向くカネキくんを見ていると、ガチャンｯという鉄の音。





貴「…………＿＿＿＿＿＿＿ぇ」









拘束される両腕。







カネキくんの手に握られている鍵。







何これ……？手錠………







カネキ「僕が知らないとでも思いました？」





貴「……ｯ」









カネキ「カメラ、ついてるんですよ。フフ……Aさんもあんな風に寛ぐんですね…？」





楽しそうにカネキくんは笑う。









冷えた、見下すようなそんな目で。









違った。怒ってない訳なかった。








すべてを見透かす彼は、余裕そのもの。









まるで、想定内とでもいうかのように。









カネキ「画面に部屋を出ていく映像が映ったときはスマホを壊したくなりましたよ」









だからコレ、と手錠に指を指す。









カネキ「わざわざ買ってきたんです。頑丈でしょう？………本当に最高ですね」









酷く歪んだ笑みを最後に、視界が真っ暗になった。









カネキ「お仕置きですよ………」









そう、甘く囁かれながら。

don't love16→←don't love14

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す