深く不覚、愛して【東京喰種】

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什「ドーナツ食べたいです」


そう言われて連れてこられたのは、今人気のドーナツ店。

チョコがかかったポピュラーなものや、私の好物の桃がのったものまで、種類は数知れず。

貴「あわ……美味しそう……」


什「早く選んでください」


貴「あ、うん！」


とりあえず桃がトッピングされたドーナツを１つ買うことにした。



近くのベンチで食べるらしく、こっちこっちと急かされる。


什「水谷ちゃんは一個です？」

貴「うん。名前で構わないよ」


什「じゃぁ…A？」


コテン、と首をかしげる仕草に思わず抱き締めたくなる衝動に駆られる。

けど、我慢我慢。おかしい子だと思われちゃう。


貴「ジューゾーくんはドーナツ好きなの？」


什「はい！というか甘いもの全般…」


何個買ったんだろうか…膝に置かれている箱の大きさに驚愕せざるを得ない。


什「…Aは…」

食べることに集中していたジューゾーくんが、手を休め私を見つめた。


貴「………？」


什「しょうがく…………や、大人…ですね…」


視線を下に落として納得している様子。…何を？


貴「よく分かったね？私、大学生なの。身長小さいからよく間違われちゃうけどね…」


什「それでですか」


貴「？うん」



男の子ってよく分かんないかも。皆下見て、何かあるのかな？


貴「ジューゾーくんは？何やってるの？」

什「ぐーるそーさかんですぅ」


貴「へぇ…！すごいね…！でも、一等とか特等とか…段階分けされてるんでしょ？」



什「はい。僕は二等です…篠原さんは特等ですけど」


…篠原さん？ジューゾーくんの上司さんかな…


貴「CCGって、どんなことするの？」


什「そーですねぇ…クインケで喰種を殺しまくるです…」


ふと、上げられた顔が艶美で


冷や汗が垂れた。


貴「そ…そっか…って…ジューゾーくん？」





隣に座っていたジューゾーくんが頭を私の太股に預けるように寝転び始める。


膝枕してほしいのかな？


什「…A、温かいですね…」


貴「ジューゾーくんは甘えたさんだねぇ」









気づいたらジューゾーくんは寝ていて、することもなかった私はジューゾーくんの可愛らしい寝顔にうつつを抜かした。

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