従騎士ネロ ページ36
何やら、外が騒がしい。気配に、ふと従騎士のネロは立ち止まった。しかし、それと数秒もせず思い至る。
ああ、「警護任務の目的」が来たのか、と。一瞬、外へ出て援護をしようかと思われたが――おそらく、外の戦力は十分なはずだ。どちらかといえば、内の方が手薄なくらいに。
気を取り直して、ネロは次にやるべきことを模索する。そう、とりあえず「子供たち」がいるところにでも行ってみる、か。
そう思索しているところに、「声」――どうやら、すでに「子供たち」のもとへ向かった者がいる。そして、その者からの連絡、「声」に、「行方不明の者が一人いる」とあった。じゃあとにかくそいつを確保。そう、邸のさらに奥へと歩を進めた。
それから、曲がり角へぶつかったとき。どこからか、歌うようなつぶやくような、不思議な声が聞こえた。さらに、聞き逃してしまいそうなほど小さくて、軽い足音が一つ、二つ……だんだん、こちらへ近づいてくる。
角の死角に身を潜め、ネロは耳を立てた。声の輪郭がはっきりとしてくる。少女の声。これは、もしかしたら。
「『――そうして、末永く幸せに暮らしましたとさ。めでたし、めでたし』――あら、みつかっちゃった」
ネロが姿を見せた右の角の先にいたのは、真っ白な髪に深い橙色の瞳を持った少女だった。きょとん、と彼の姿を見とがめた後、瞳を細めてふふふ、と笑う。わずかに目を開いたまま笑うその姿は、どこか年齢に似つかわしくない不自然さを抱いていた。
「ねえ、どうするのかしら、騎士さん？ 私を捕まえる？ 侯爵様に献上する？」
ネロを試すように、少女は上目で彼を見る。底知れぬ不気味さを感じながら、ネロがひとまず「いや」と答えようとすると。
「あれ、ネロくんだ！ よかったあ。僕、急に外が真っ暗になったから心配してたんだよ。うん、でも、ネロくんは強いから心配いらなかったね！」
間延びした、和やかな声が後ろから聞こえた。振り返ると、こちらは真っ白な髪に薄桃の瞳。目前の少女とは対比的に、青年の見た目のわりに幼い声と幼い動き。背中に矢坪を背負い、右手に弓を持ってはいるが、空いた左手は肩からぶんぶんとネロに向かって振っている。
先ほどまで少女に抱いていた緊張感が、良くも悪くも抜けた。はあ、と彼はため息一つついて脱力した。
「ああ、無事だよ。お前も大丈夫か、リュカ？」
ネロに問われたリュカは、ぱああ、と満面の笑みを浮かべた。
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紫清(プロフ) - 嵩画さん» 温かいお言葉ありがとうございます！ 読んで下さる方がいるということが何よりの励みになりますので、今後ともよろしくお願い致します。 (2020年3月16日 18時) (
レス) id: 840643cfcd (このIDを非表示/違反報告)
嵩画(プロフ) - 毎回更新される度にわくわくしながら読ませて頂いております…今後の展開が非常に楽しみです。お忙しい時期だとは思いますが、頑張って下さい。 (2020年3月16日 17時) (レス) id: 34e937d538 (このIDを非表示/違反報告)
紫清(プロフ) - ももせさん» ありがとうございます！ 長くなりそうですが、お付き合い頂ければ幸いです。 (2019年9月26日 0時) (レス) id: 85ba6a0490 (このIDを非表示/違反報告)
ももせ - 小説版すごく楽しみにしていました！今後の展開が気になる…更新楽しみにしてます！！ (2019年9月23日 23時) (レス) id: a031215c05 (このIDを非表示/違反報告)
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