合流 ページ32
時間は少し遡る。ちょうど火が消えたころ、邸の裏に古ぼけた馬車が止まっていた。乗っているのは、ユアンとケント、そして先日ケントをアジトへ連れてきたルカだった。御者として馬の手綱を握り、深くフードをかぶった彼は緑の瞳で注意深くあたりを見渡す。
「大丈夫です。付近に気配はありません」
「そのへんを歩いていた騎士が遠ざかって――戦いはじめたとおもいます。金属音がする」
耳を澄ましていたケントと同時に、ルカは冷静に言った。それと間もなく、音もなくユアンは馬車の外へと躍り出た。地面を蹴って飛び上がり、軽く、馬車の上へ着地する。そのまま、細い月を見上げて――ぴくり、とケントの身体が動く。きっと彼には聞こえたんだろう、と一人ルカは空を見た。いや、彼にだけ、でなく。
闇の中で影が見えた。塀の上にしゃがんでいたそれは、一秒と経たず立ち上がり、そのまま飛んだ。ひゅう、と風を切りつつ滑空し――
「いやっ！ ごめんなさい誰か止めて！ 最近全然飛んでなかったし、羽のお手入れも怠ってたから！ 組織の人――あっケント！」
馬車の中に突っ込んできた。そのまま突き抜けて外に出てしまいそうだったのを、振り返ったルカが住んでのところで受け止める。
「大丈夫ですか？」
「えへへ、ごめんなさい……私、一応こっちのリーダーのサラって言います。組織の方ですよね？」
そう照れくさそうに頭をかいたのは、病的な白さの肌に、みすぼらしく切られた短髪の少女。14歳ほどの彼女の背には、大きなコウモリの翼があった。ルカの上から退くとともに、小さくそれは折りたたまれる。
「ちょっと――」
「さっさと行けよ――あっ急に止まんな！」
「そうそう、こっちこっち。急いで、でも転ばないように。あ、これからよろしくお願いします、みなさん」
「本当に大丈夫なのかよ……」
怪訝そうな顔でケントが口を開こうとしたが、サラの突入を合図に次々と乗り込んできた子供たちのひそひそ声に妨げられてしまう。
ヤギ、チワワ、ロバ、リス、キリン――いずれもお世辞にも「綺麗」とは言えない身なりの、ベアマンの子供たちが馬車へ次々と乗り込んでくる。一番年長なのはサラのようで、逆に幼そうに見えるキリンの少年は、まだ七歳にも満たなさげであった。
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紫清(プロフ) - 嵩画さん» 温かいお言葉ありがとうございます！ 読んで下さる方がいるということが何よりの励みになりますので、今後ともよろしくお願い致します。 (2020年3月16日 18時) (
レス) id: 840643cfcd (このIDを非表示/違反報告)
嵩画(プロフ) - 毎回更新される度にわくわくしながら読ませて頂いております…今後の展開が非常に楽しみです。お忙しい時期だとは思いますが、頑張って下さい。 (2020年3月16日 17時) (レス) id: 34e937d538 (このIDを非表示/違反報告)
紫清(プロフ) - ももせさん» ありがとうございます！ 長くなりそうですが、お付き合い頂ければ幸いです。 (2019年9月26日 0時) (レス) id: 85ba6a0490 (このIDを非表示/違反報告)
ももせ - 小説版すごく楽しみにしていました！今後の展開が気になる…更新楽しみにしてます！！ (2019年9月23日 23時) (レス) id: a031215c05 (このIDを非表示/違反報告)
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