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迷宮の少年少女 ページ14

「それでは、これから始まるのは迷宮に住む怪物に立ち向かう英雄のお話――」

 三つ目の物語。いつもの口上を述べながら、彼女は指をパチンと鳴らす。
 面白そう、と思ったケントは思わず意を乗り出した。
 しかし、少女のその挙動を拍子に急に子供たちが立ち上がり、ぞろぞろと座る場所を変え始めた。まるで、あらかじめ座る場所が決まっているかのように。ものの数秒で、部屋の中にはきれいな円が出来上がった。

 先ほどまでの和やかな雰囲気からの変容に、ケントは面食らった。自分だけ場についていけていない気がして、きょどきょどと周りを見回す。
 そんな様子に、少女はまた再び妖精のように微笑んだ。

「ふふ、びっくりさせちゃったかな。ごめんね。今のは、会議を始める合図なの。だって、いつでもこういう会議ってできるわけじゃないから。あなたの座っている位置からは見えないと思うけど……さっきまで、そこの壁ののぞき穴から目が光ってたから。でももう大丈夫よ。気配もしないのよ、ね?」

 そう彼女が横のコウモリのベアマンに聞くと、うん、と自信満々に彼女はうなずく。
 英雄の話は今度してあげる、と少女は片目を瞑った。自分の心中が透かされたようで、ケントは真っ赤になってうつむいた。

「ちょっとそれいい?」

 子供の一人が、ケントとドルーの座っている敷物を引っ張る。ドルーは慣れたように、ケントは慌てて退くと、その敷物を円の中央へもっていき、くるりとひっくり返した。

「これは――」

 そこに広がっていたのは、この屋敷の見取り図だった。彼がここへ連れてこられた日の記憶と照らし合わせてみると、ほとんど寸分たがわず、と言えそうな。

*→←夕焼け少女の物語り



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紫清(プロフ) - 嵩画さん» 温かいお言葉ありがとうございます! 読んで下さる方がいるということが何よりの励みになりますので、今後ともよろしくお願い致します。 (2020年3月16日 18時) (レス) id: 840643cfcd (このIDを非表示/違反報告)
嵩画(プロフ) - 毎回更新される度にわくわくしながら読ませて頂いております…今後の展開が非常に楽しみです。お忙しい時期だとは思いますが、頑張って下さい。 (2020年3月16日 17時) (レス) id: 34e937d538 (このIDを非表示/違反報告)
紫清(プロフ) - ももせさん» ありがとうございます! 長くなりそうですが、お付き合い頂ければ幸いです。 (2019年9月26日 0時) (レス) id: 85ba6a0490 (このIDを非表示/違反報告)
ももせ - 小説版すごく楽しみにしていました!今後の展開が気になる…更新楽しみにしてます!! (2019年9月23日 23時) (レス) id: a031215c05 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:紫清 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2019年9月23日 23時

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