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殺風景だった部屋に大量に溢れた物達。
買いすぎた。猫用ベッド何て絶対に五つも要らない。
その上を元気に飛び回っている小さな身体。
動物病院の先生によると健康そのものらしかった。
「にゃあぁ」
擦り寄って来たかと思うとペロペロと舐めてくる。慣れてきたけど、猫の舌はザラザラしていて少し痛い。
『出掛けるから、離して』
「うにゃー!」
『ち○ーる要らないの?』
そう聞くと必ず大人しくなる。
最近気づいたけどこの子はかなり食い意地がはっている。
『行ってくるね』
そう呟いて身体を撫でるとじっと此方を見つめてきた。
今日は早く帰らないと
*****
『ただいま』
「にゃぁん」
ドアを開けると熱烈なお出迎えを受けた。
すりすりと身体を寄せて甘えてくるのは嬉しいけれども少々通り辛い。
『通してね。』
そう伝えるとピョンと肩に飛び乗ってきた。
そんな事出来たのね。こんな小さな身体の何処にそんな力があるのか。
手を洗い、ご飯作りに取り掛かる。
といってもフードをお湯でふやかす位なのだけれど。
私の分はどうしよう。昨日の余りのスープでもチンして飲もうかしら。あ、サラダも余ってたはず。
用意した食事を並べてあげると勢いよく食べ始めた。その様子を見ながら自らも口に食べ物を運ぶ。
暫くすると食べ終わった小さな身体が眠り始めた。今のうちにお風呂に行かなくちゃ。
音を立てないようにそっとお風呂に向かった。
どういう訳かこの子は私がお風呂に入っていると助けようとしてくる。それはもう素晴らしく大きな声で鳴きながら助けようとしてくる。
私は猫じゃないんだから水は平気なのに。
お風呂から上がり、髪を乾かし寝る準備をしてベッドに入ると枕の隣に小さな身体が転がっていた。
ぎゅっと抱きしめて目を瞑る。最初は寝返りをうてば潰れて仕舞いそうで怖かったのだけれど今は寧ろぬくぬくとしていて安心する。
『おやすみ』
そう呟やくと、小さくにゃんと返した後そっと頬を舐めてきた。
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作者名:とと | 作成日時:2019年9月10日 19時