検索窓
今日:3 hit、昨日:50 hit、合計:172,372 hit

12話 ページ12

ーーーーーーー
ーーー

深夜。 草木も眠る頃、私は酷く喉が渇いて水を貰おうと布団から抜け出し調理場へと向かった。
当然誰もおらず、暗くしんとしている中
蛇口をひねり水をコップへと注ぐ。
二杯ほど飲んでから、片付けて、その場を後にした。

月の光に照らされた廊下を歩きながら、
少し前まで聞こえていた虫の音も 何にも無い庭をぼんやりと眺める。
段々と肌寒くなり、本格的な秋から冬へと季節の移りが分かる。
そろそろ布団、しっかり被らないと凍えるな。
そんなことを考えながら、私は
寒さと夜のインクをこぼしたかのような暗さが相まって、押し潰されそうな圧力を感じていた。

角を曲がった時、前方のとある部屋が
まだ灯りがついているのが見える。
私はこんな時間まで誰が と、少し気になって
そのまま 歩みを進めた。

しかし、近づくことで聞こえてきた声に
ピタリと足を止める。

「最近、彼女変わったよね。」
「‥‥ん? あぁ、そうだな、」

そこにいるのは、燭台切さん、鶴丸さん、一期さん、三日月さんだろうか。
接点があるのか無いのか、あまり全員でいるところを想像できないメンバーである。
話されているのが自分の事だと察した私は
無意識のうちに身体が強張ってしまった。

「刀として彼女の気持ちは理解できるよ。
やっぱり戦いたいよね。」
「でも、私は少し心配です。どこか、彼女、焦っている気がして。」

一期さんの言葉にドキリとする。
図星を突かれた気がした。

しかし、
「‥‥なんだ?一期。 やけに気にするじゃないか。」
聞こえてきた 普段より二段階ほど低くなった
鶴丸さんの声に
私の体温は急速に低下する。
その場の空気の温度も間違いなく下がった。

ふ、不機嫌だ。
盗み聞きしているこっちまで反応してしまう。

「そんなに睨まんで下さい。乱が不安な顔で見つめているので、兄として気になっただけです。」
「あぁ、確かに、仲良いもんね。」

即座に出される否定の言葉とその援護。
そんな雰囲気の中、まるで御構いなしのように、あの天下五剣が 「そうだなぁ」と、呟いた。

13話→←11話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (281 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
357人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

あめみや - 急な一期一振に口角が下がりません。ありがとうございました (2月23日 20時) (レス) @page30 id: d39539a2df (このIDを非表示/違反報告)
まかろん(プロフ) - 凄く感動しました、、。 (2020年8月13日 0時) (レス) id: 45c17c16c0 (このIDを非表示/違反報告)
なるちゃん(プロフ) - すごーくおもしろかったです! (2020年3月28日 10時) (レス) id: f390aacf74 (このIDを非表示/違反報告)
anao10(プロフ) - 完結おめでとうございます!お疲れさまでした…!そわそわする展開で毎話毎話じっくりと読み込んでしまいました…笑。次回作品も楽しみです。 (2019年10月24日 0時) (レス) id: 8c68a256f2 (このIDを非表示/違反報告)
黒瀬(プロフ) - 完結おめでとうございます!!!!作者様の書かれる作品は素敵な物ばかりで、本当に大好きです!!毎回、刀剣男士との距離の描き方が上手で、毎回楽しみに読んでおります!次のお話も楽しみにしてます… (2019年10月22日 23時) (レス) id: 8cdd57f528 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:杏子メロンパン | 作成日時:2019年10月6日 15時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。