俺はお兄ちゃん ~優太side~ ページ15
〜優太side〜
「お前ら……どうした？」
A「……別に」
廉「……」
いつものように皆んなで登校してるんだけど
さっきから一言も口をきかない廉とA
廉なんかいつもだったら一番うるさいのにずーっとダンマリ
ぜってー何かあっただろ
玄「喧嘩したの？珍しいじゃん」
勇「廉何やらかしたんだよ〜」
玄樹と勇太の問いかけにも反応しない二人
紫耀は今日用事があって先に行っちゃったし
俺が何とかするしかないな
「ほらこれやるから機嫌直せよ、な？」
カバンからお気に入りのグミを出して、後ろにいたAに差し出す
Aもこのグミすげー好きだからさ
笑顔で受け取るかなーって思ってたら
A「………いらないし」
「えっ」
スタスタ歩いて行っちゃうAと、クスクス笑う勇太と玄樹
試しに廉にもグミを渡そうとしたけど
はぁっと溜め息をつかれた
なんでだよ…
玄「優兄、Aたちのこといくつだと思ってんの？」
「え…5歳だろ」
勇「バーカ、冗談言ってる場合じゃねーよ」
俺たちを置いて先を歩いて行く廉とA
あいつらっていつから俺の後ろじゃなくて一人で歩いて行くようになったんだっけ
そう思いながら当たり前だけど二人の背中が大きくなったことに気付く
玄「やっぱこういう時は紫耀じゃなきゃダメだね」
勇「優兄じゃ頼りないわ」
「うるせー。お前らだってそうだろ…っておい！」
玄樹と勇太まで俺を置いて行きやがった
昔は俺が先頭でみんなが着いてきたくせにさ
みんなの中で俺が一番兄ちゃんなんだぞ？
廉とAはだいたい紫耀に引っ付いてて
海人は勇太によく懐いてたな
それから玄樹と……
目を閉じれば浮かぶあの頃の記憶
楽しかったたくさんの思い出と
忘れられない、あの出来事
玄「優兄遅刻するよー！早く！」
「あぁー今行く！」
そっと瞼を開いても現実は変わってなんかなくて
いつもの朝なんだ
あれから、もう10年か…
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作者名：たかりな | 作成日時：2017年3月12日 21時
