かえって ページ31
そらるside
そっとドアを開ける。
まふもいっしょに。
さっきドアを乱暴に閉める音が聞こえたから、多分寝てる…
あーやっぱり。
すよすよと寝息を立てるAに、呆れるように溜息をついた。
嫌なことがあったら寝る癖どうにかしてほしいよ。
謝りたくても謝れないし。
こいつから謝ってきたことなんて片手で足りるくらいの数だ。
「A」
「…んぅ……」
「寝てる…んですか？」
「うん。でも、さっき話したみたいなずっと寝るようなやつじゃない。すぐ起きる」
「そうですか…」
ちなみに、まふには病気のことと、こいつのことを全部話した。
半信半疑みたいだけど。
「A。起きて」
「……ん……かなさん」
「ん、おはよ。A、起きれる？」
「はい…」
少し眠気が残る顔で、ベッドから起き上がる。
目を擦り、ゆるゆるとこちらを見た。
俺とまふが並んで椅子に腰掛けているのを見て、Aの顔が一気に不機嫌になる。
「ちゃんと真冬に、お前のこと話したから」
「真冬さんっていうんですか」
「うん。相川真冬！…って、さっき言ったけど…」
「……紀鞠Aです…」
相変わらず不機嫌にぶっきらぼうに自分の名前だけを述べたAは、再びベッドに寝転んだ。
頭まですっぽりと布団で覆い、さらに壁の方を向いてしまった。
いつもならこんな態度はしないのに、何か気に触ることがあったんだろうか。
まふはもう涙目だ。
「…A？どうした？」
「知らないです、もう。」
「何が」
「もういいもん。寝ますから」
「A！」
慌てているまふに少し申し訳なくなって、大きな声で名前を呼んだ。
すぐにしまった、と後悔したが、もう後の祭り。
びくりと布団が揺れる。
少しだけ顔を出したAの頬は濡れていて、大きな瞳からも大粒の真珠が零れ落ちていた。
それを見たまふが、「え？え？」と戸惑いながらAの頭を撫でる。
Aはひくりひくりとしゃくりあげ、キッとこちらを睨みつけた。
再び頭から毛布を被り、小さく丸まってしまった。
「出てってください」
一言小さく言うと、Aはもう何も言わなかった。
「わかった」
俺はまふを連れて部屋を出た。
さて、これからどうするかな。
・
嫉妬して自分の気持ちの伝え方を知らない主人公が好き。
世間知らずだから自分の思い通りにならないのが気に入らない。
まてよ、この子は所謂自己中というものでは？((
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奏多(プロフ) - ノイさん» ありがとうございます！もう嬉しすぎて泣きそうです…！ (2017年11月19日 9時) (
レス) id: fcbc722ecc (このIDを非表示/違反報告)
ノイ(プロフ) - 80000hitお気に入り600人おめでとうございます！凄く面白くて大好きです！これからも更新頑張ってください！ (2017年11月19日 8時) (レス) id: dcb8506cd4 (このIDを非表示/違反報告)
奏多(プロフ) - む犬さん» ありがとうございます！なかなかシリアスから抜け出せなくてw更新頑張ります！ (2017年11月14日 6時) (レス) id: fcbc722ecc (このIDを非表示/違反報告)
む犬 - はじめまして!とっても好きな内容でとっても面白いです！なんかシリアスが入ってるのが好きなんです←更新頑張ってください (2017年11月14日 0時) (レス) id: f250e10484 (このIDを非表示/違反報告)
奏多(プロフ) - 初音さん» ありがとうございます！私のはただの我儘なので全然大丈夫です！ (2017年11月12日 7時) (レス) id: fcbc722ecc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：奏多 | 作成日時：2017年10月15日 18時
