【HQ】群青コート【男主】

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土曜日、病院へ向かい診察を受けた

足は順調に回復しているとの事だった


病院は午前中だったため、午後にはなんの予定もなく
母さんの喫茶店でのんびりと月バリを読んで過ごしていた


そう、本来なら午後からでも部活の引退試合に見学に行けたのだ

でも行きたくないという気持ちが勝ってしまって後輩には

あえて病院があると大まかにしか説明しなかった

時間帯まで言ってしまえば、後からでも来て欲しいと誘われるのが目に見えていた


「A〜、何飲む〜？」


カウンターキッチンでお湯を沸かしている母は

自分用と僕用のティーカップを用意していた


『いつものやつ〜』

「は〜い、アールグレイね！ミルクどうする？」

『ん〜、今日はお願いしようかな』

「はいね〜！」


母さんは鼻歌混じりにポットに茶葉を入れお湯を注いだ後

氷の入った耐熱グラスのポットに熱々の紅茶を入れ冷やしていく


手間がかかるから水出しのティーパックなんかを使えばいいのに

雰囲気を楽しみたいからと、ずっとこのやり方をしているらしい


「はい、どうぞ〜」

『ありがとう。いただきます』


僕はミルクを入れたティーカップに紅茶を注ぎ一口飲んだ


『・・・美味しい』

「ふふふ。せやろ〜！」


ニコニコと嬉しそうに微笑む母は紅茶を一杯飲むと

あっと声を漏らす


「A、今日の夕方母さんのママさんバレーついて来おへん？」

『・・・へ？』


いきなりのことで、鳩が豆鉄砲を喰らったような顔をしてしまう


「いやね、隆幸さんもAもバレーやっとるやろ？だから私もやってみよ思ってな、少し前から始めたんよ」

『え、聞いてない』

「恥かしいから、誰にも内緒にしとったんよ」

『・・・そうなんだ、なんか意外。母さんがスポーツってイメージなかったから』

「ええ？母さんこれでも、中学時代は剣道部で大将務めとったんやで？」

『・・・初めて知った。想像できないや』

「まぁ、剣道以外はほんま下手くそで、体育で球技やる度に先生に下手すぎて怒られとったわぁ」

『ふふふ。母さん運動苦手だもんね。ママさんバレーって一与さんがやってたチーム？』

「ううん、母さん下手くそやしご近所さんに見られるん恥ずかしいから、ちょっと遠くのクラブに行っとるんよ」

『へー・・・』

「そこでな、Aと同い歳の男の子が練習に来てるんやけど私らやとちゃんとした練習にならへんだろうし、Aが練習相手になって欲しいんよ」

『えぇ・・・・』

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